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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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多分君がいれば世界はまわる


「………あら、お久しぶり、ですわね」

 そいつはさらりとそう言った。
 そいつが俺を覚えていたことが驚きだった。
 俺が覚えている限りずっと二つに結んでいた長い髪は、今は解かれていて、綺麗に緩く波打ちながら月の光を反射している。
 中二からクラスは違ったし、高校も別だからまず会わないだろうと思っていたのに。
 俺は丘の麓の公立高、――芹沢は丘の上の私立高だ。しかもこんな遅い時間。部活上がりの俺は八時なんかに帰ることもざらだけど、こいつはそうじゃないだろう。お嬢様なんだし。

「何でこんなとこいんだよ」
「私でも散歩くらいしますわ」
「危ないだろ、夜遅いんだし」
「まあ」

 芹沢は意外だとでも言いたそうにくすくす笑う。中学時代、一度も見ることがなかったこいつの私服。落ち着いた色なのにやわらかそうで、らしいな、と思った。

「なら、送ってくださいますか?」 
「……は!?」

 急な話に俺が声を上げると、また笑われた。
 自由奔放な感じは変わらないんだな。ため息をついて鞄を肩にかけ直す。
 それが合図になったのかどうかはわからないけれど、俺は芹沢の少し後ろをついて歩いた。



「彼氏くらい、いんだろ。あの時からいるんだから」
「残念ながら、まだそういう方はおりません」
「中三の時から高校生追っかけてたって聞いてたけど?」
「随分気にかけてくださってましたのね、私のこと」

 そんなに好きでした? さらりと聞かれて言葉に詰まる。
 そんな、もう三年も四年も経ってるというのに、どうして動揺する必要があるんだろう。

「……お前、自分過大評価してんじゃねぇよ」
「そんなことしていませんわ。まず私なんかに告白した貴方の方が異質でしたし」
「悪かったな、悪趣味でよ」
「ええ、本当に」

 貶されてるってのにこいつはまたさらりと受け流して笑った。
 別に、悪趣味だったなんて思ってない。今だってそれなりに可愛いと思うし、あの時もそうだったと思う。ただ、こいつの生き方が最悪だっただけで。

「中学の時、同じ学校だと俺としか付き合ってなかったんだって?」
「よく知ってますのね」
「噂で聞いたから。気まずくなると面倒だって分かった?」
「そんなところですわ。それに、驚きましたから。あの思い出はあのままにしておこうかと思いまして。結構強引でしたわね」
「そういう言い方すんな。せっかく忘れようとしてたのに」

 芹沢が歩く後ろをついて歩きながらため息をつく。
 話振ったの俺のくせに、何言ってんだろう、馬鹿みたいだ。
 芹沢が足を止めて俺に近づいて、にっこりと満面の笑みを浮かべた。

「……本当に?」
「っ」

 ふざけんな、中一だったんだぞ、同い年のくせに遊びやがって、おかげさまで俺はあれから、中学を卒業しても前向きになれない。みんなああやって遊んでんだ、って、みんなそうやって裏切るんだろう、って、思ってしまう。中一なんて、言うなれば『恋に恋するお年頃』とかいうヤツなのに、だから普通なら吹っ切れるはずなのに、未だに俺が引きずり続けているのは。
 確信を持って俺を見る芹沢の目の鋭さ。そういう大人っぽい顔もできて、すげえ似合うのに、学校では、男の前では小動物みたいに可愛らしい仕草で身を固めていた。声だって綺麗なんだ。外で合唱部が声出ししてるとき、聴いたことある。高い声、綺麗だって知ってる。他の誰の声よりも、その声だけ聞き分けられる自信があった。勉強も、順位はあんまりよくないけど、コントロールしてるんだろうな、とは思ってた。だってこいつ、絶対賢いんだ。俺がこいつの斜め後ろの席だった時、見たことある。数学の授業中、配られた演習のプリントさらっと全部解いて、一回全部消してからまた適当な答え書き直してたこと。
 全部が、気になって仕方なかった。けどそれは過去形だ。今じゃない。今じゃ、ない。
 風が吹いて、ふわりと流れる芹沢の髪。そこから微かに漂う香りに、少しだけ、眩暈がするような錯覚を覚える。
 ――こうして学校帰り、他愛も無い話をしながら、彼女を家まで送り届けるなんて、してみたかったことだ。
 別れても、こいつの噂をよく聞いていたのは、聞きたかったからだ。どんな生活してんだろう、どんなこと考えてんだろう、どんな表情してんだろう。気にかけていたのは、事実だ。
 でも何とも思ってない。はず。こいつは今、別のヤツがいて、俺は、たまたま会っただけで。
 
「………っ、だから、寝惚けてんじゃ、ねぇって……!」
「理性的ですわね。もう少し感情的になってくださるかと思っていましたのに」
「俺で遊んでそんなに楽しいかよ……」

 あの時と同じ轍は踏まない。どんなに眩暈がしたって、終わったこと。
 過去のこと。
 忘れるべきこと。分かってる。
 
「いえ、少し感情的になれば、貴方も楽になるのかと思っただけですわ。中学の頃と同じ顔をしてますもの。私のせいでしょう?」

 流石に頭に来て、芹沢を睨みつける。当の本人はきょとんとした顔で、何の悪気もないらしい。 
 私のせいでしょう、だって? 何て返して欲しいんだ、お前。もう三年も経ってるのに、今更何て答えろと。それよりも、どうしてお前、中学の頃の俺の顔なんて覚えてんだよ。
 今何か言ったら取り返しのつかない言葉が出てきそうで、でも黙ってもいられなくて、何か言おうと口を開いた時、すぐ近くの角を誰かが曲がってきた。 

「……あれ、椿。何やってんだよこんな時間に」
「炎而様! 奇遇ですわね、私は散歩ですわ」

 男だった。背がかなり高い。体つきからしても、顔つきも、多分スポーツマンだ。
 ――こいつが、例の。
 炎而様は? と芹沢が男に問いかける。暇だったからロードワーク、と男は答えた。

「もう遅いんだから、一人なら送ってくけど?」
「それには及びませんわ。今日は、」
「いいよ」

 芹沢の言葉を止めた。こんな奴が来て、それでも堂々とこいつを送るようなことは、俺にはできない。
 邪魔した? と男は芹沢に聞いていた。別に全然邪魔なんかしてない。俺はそう思うのに、芹沢は「ほんの少し」なんて答えていた。何だよ、それ。

「彼氏に送ってもらえよ。俺は帰る」
「残念ですわ。せっかく感動の再会を果たしましたのに」
「何がだよ。……じゃあな」

 どの辺が感動の再会だったというのか。心は確かに動かされたけれど、ただ苦しいだけ。どうしたらいいんだろう、どう吐き出せば、楽になるのか。
 鞄を肩に掛けなおして、芹沢に背を向けて数歩歩き出す。それから、一度立ち止まって、振り返った。
 芹沢はまだそこにいて、俺を見ていた。

「……俺の負け。すげえ癪だけど」
「え、」
「それだけ」

 言葉を告げたときの芹沢の顔は、あの日俺が芹沢を『椿』と呼んで、ギャグみたいなキスをした、あの時の驚いた表情だった。俺はそれに満足して、また歩き出した。
 多分もう会わない。会ったって、どうなることもないだろう。それでも俺はこの先ずっとこのチクチクした痛みと戦わなきゃならない。あの男が現れて、羨ましい、と思ってしまった自分の気持ちと、ずっと戦っていく。負け戦でも、ずっと。





ゆうきゃんボイスの主人公君、書きかけだったので仕上げてみた。
やっぱりこの人好きかもしれない。ゆうきゃんだからなのか。

ここまででもやっぱり報われないからこいつ可愛いな!!
炎而君はいろいろと間の悪いところで入ってくれる子なんじゃないかと思ってる私どうなの。
椿は嘘とか冗談が混じってない本当に真っ直ぐで気持ちの入ってる言葉にすっごい弱いと見た。でも雑魚同然の男とかはそういう対象じゃなくて、あくまでも自分が認めてる人の中で。

「指を舐める」「上目遣い」「頬に頭をすり寄せる」
なんか自分的萌えモーションをかなり含んだものを書いてたんだね、私。

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2007.12.29(Sat) | Title | cm(0) | tb(0) |

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