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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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かえりみち



「ん、まあ座って待ってて。準備してくるから」

 先生はそう言って一度部屋を出た。
 今は放課後、ここは進路指導室。あたしは数学の教科書と問題集、それからノートを抱えたまま、小さな部屋でため息をついた。
 ――どうしてこんな日に登校しちゃったんだろう。
 叡一が言うみたいに、えっと、扇谷貴久?みたいに、もっと計算して登校すること考えた方がいいのかもしれない。でもあたしは計算して登校しても試験が全然ダメだから出席日数だけじゃ進級が危うい。でも、だからってよりによって一番苦手な数学の小テストの日に登校してしまうなんて。その返却の日にも登校してしまうなんて。しかも補習って言われるなんて、本当にどうしようもない。数学できないのなんてあたしだけじゃない。他にも補習って言われた人は当然いる。けどみんな上手い理由で逃げ出したみたいで、あたしだけが断れずにここにいる。黙って帰るって選択肢、どうして見えなかったのかなあ。もう一度ため息をついて、あたしは扉から一番遠い席に腰掛けた。
 数学担当の水城 樹理先生は、戻ってくるなりこの部屋の扉を全開にすると、部屋の前に立てるタイプの黒板を置いた。ちらりと黒板の文字を見ると、『補習中』の三文字。

「あー、そっちじゃなくてドア側座って」
「あ、はい。すみません……」
「僕も何するつもりもないけどさ。何か言われても後々面倒でしょ」

 ……ああ、そういうことか。
 もう校舎全体に冷房が入っているこの時期、ドアを開け放せば空調は効きづらい。なんでだろうとちょっと思ったけど、一応そういうこと考えてくれたみたいだ。
 先生の腕にも教科書と問題集。それとシンプルなペンケース。言われた通りにドア側の席に移動すると、それじゃあ始めようか、と先生も奥の席に腰掛ける。
 マンツーマンでの補習授業が始まった。 




「全然できてないってわけじゃないと思うんだけどな。休んでる時も家で一応はやってるんだ?」
「あ、えっと、叡一、じゃなくて、あ、安瀬くんが教えてくれる範囲は、あの、少しだけ」
「安瀬って安瀬 叡一? 仲いいんだ」
「……幼なじみ、です」
「へえ、意外だな」
 
 よくそう言われる。それはあたしに友達がいなさそう、という意味なのか、叡一にあたしが似合いじゃないという意味なのか。両方のような気がする。
 叡一はよくあたしの面倒を見てくれる。ああいうのを、甲斐甲斐しい、って言うのかな。あたしは叡一の妹でもなければ彼女でもない。幼なじみといっても小さい頃からずっと一緒にいたってわけでもない。なのに叡一はあたしに本当によくしてくれる。それが少し申し訳なくて、でも断るのもあたしが寂しくて。あたしに割いてくれる時間、叡一ならもっともっと有効に使えるんじゃないかな、とはよく思う。人に教えることができるってことはその分叡一自身は勉強については理解しているってことだ。だから特別基礎からやり直す必要だってないだろうし。

「面倒見良さそうではあるけどね、安瀬くん」
「教えてもらってるのに満足にできなくて、申し訳ないです」
「あんま考えすぎない方がいいよ。ああいうのって自分が好きでやってるからさ」

 あたしのノートを覗き込みながら、先生がさらりとそう言う。
 それは、なんだか、少し複雑な台詞だ。先生は叡一じゃないのにどうしてそう言えるんだろう。
 少し睨むような視線に気づいたのか、樹理先生は緑色の瞳を見開いてから、笑った。それから、ごめんごめん、と言う。

「今のじゃよく思わないよね。ごめん。……僕にも似たようなのが身近にいたから分かるんだ」
「先生にも?」

 先生は大真面目に頷いた。

「ものすごくお節介な奴でね、僕が学校サボると」
「え、学校サボったりしたんですか? 全然イメージない」
「そう? 子供の頃から見た目で何だかんだ言われること多かったからね。聞き流すのも面倒でそのうち登校しなくなった。……君と同じ、かな? 違ったらごめん」

 同じです、と小さく返すと、ならよかった、と微笑みを返される。
 ……そっか、そういえば先生もハーフだった。中身はまんま日本人だけど、見た目はどう見たって外国の人。あたしと同じ、かな。もっと苦労したのかな。どうなんだろう、先生は受け流すの得意そう。あたしみたいに大真面目に受け止めたりしなかったのかも。

「その幼なじみの人、助けてくれたんですか?」

 話を戻すついでにその質問をすると、いや、と即答された。

「僕は余計な面倒起こしたくないからさらっと流したいのに、わざわざ庇ってくれるもんだから火が大きくなるんだよ。で、クラスメイトと顔合わせるのも面倒になってサボると血眼になって探してくれちゃうし、そのうち朝から僕のことつけて回るようになってさ。余計なことしなくていい、って言うと、樹理は方向音痴なんだから放っておいたらいつか北海道行っちゃう、って泣かれたよ。そりゃ確かによく道に迷うけど、そんな本気で心配される程じゃないと思ってたし、驚いた」
「……随分変わった人、なんですね」

 だよねえ、と先生はため息交じりに苦笑。でも、苦手とか嫌いとかって雰囲気ではない。

「最初は、自分をいい人に見せたいだけなのかも、とか勘ぐってたんだけどさ、ただ自分がそうしたくてやってんだろうなって段々わかってきた。僕は黎の中で、そうしてやらなきゃならない人間のポジションにいるんだろうなって」

 れい、というのはもしかしてその幼なじみの人の名前なんだろうか。
 先生の表情が優しくて、なんかくすぐったいような感じがする。
 叡一はどうなのかな。あたしはそんな風に割り切っては考えられないよ。叡一には叡一の考え方があるし、生活があるし、あたしが好きなように生きてる一方で、勉強でも生活でもなんでも、叡一を縛り付けちゃってるみたい。勉強だってもう少しできるようになればいい。そのためには学校でちゃんと授業受ければいいだけなんだけど、それもやっぱり、少し怖いから。もう少し、叡一に迷惑かけないでいられるようになりたいよ。……今はまだ、あたしなんかに構ってくれるの叡一だけだから、たくさん甘えちゃってるけど。
 余程あたしが思いつめた表情をしていたのか、先生は何も言わずしばらくあたしを見ていたけど、そのうち、「まあとにかく」と切り出した。

「教えるのって根気要るからさ。安瀬くんの負担は減らしてあげたいね」
「あ、……はい」
「紗央さん一人頑張ってくれると僕もだいぶ楽になることだし。……じゃ、仕切り直して次解いてみようか」

 この先生はそんなに怖くないかもしれない。
 そう思う。先生の声に頷いて、教科書に目を落とすと、背後に誰かの立つ気配があった。樹理先生には当然その主が分かってるらしい。

「いけねェなあ、先生? いくら相手が校内一の美人だからって密室に連れ込むなんて」
「職員室の先生方にも報告済だからまるで密になってないんだけどね。で、芹沢君どうしたの?」

 その名前にぎくっとして、肩が震える。恐る恐る振り向けばそこには本当に、その、あたしが今一番苦手な人がいた。
 
「一対一で補習なんざコイツも辛いだろ。参加してやる」
「偉そうに言う前に君も補習対象ってことを忘れないように」
「試験は俺の責任じゃねぇよ」

 芹沢が堂々とあたしの隣に座る。それから、教科書見せて、とあたしに言う。あたしは教科書ごと芹沢に押し付けた。

「別に今ここで取って食おうってんじゃねぇんだからそんなに気ィ張るなよ」
「芹沢君、それはここ出たら食います宣言してるようなもんだからすぐ撤回すべきだよ」
「あ? つーかこんだけの美人が手ぇつけられてないってことの方が奇跡だろ」
「論点ずれてる。現国の補習も必要なんじゃない?」
「コイツが出るんでなきゃぜってー出ねぇ」

 なんで、この人は、そんな自然に、怖いこと言うんだろう。
 教室よりも今は距離が近くて、この緊張全部バレてるんじゃないかと思うくらいで、怖い。
 あたしが何も言えずにカタカタ震えていると、先生が気づいてくれたらしく、芹沢からあたしの教科書を奪い取る。

「はい、紗央さんは今日の分おしまいってことで。問題集、できるところまで解いてみて。次答え合わせするから」
「は、はいっ」

 何度も何度もこくこく頷いて、あたしは鞄を抱えると脱兎の如く駆け出した。ドアが近くて本当によかった。
 後ろで芹沢が先生と言い争ってるような声が聞こえたけど、知らない。そんなのあたしは知らない。




 校舎を出て、校門まで走る。あまりにも怖くて革靴をちゃんと履けていなかったから途中で躓いて派手に転びそうになる。避けようと思ったけど慣性の法則?とかいうので無理な話で、前を歩いていた男子生徒に思いっきりぶつかって、二人して地面を転がった。びっくりして、申し訳なくて、謝りたくて顔を上げると、なんだかその相手はよく知った人のように思えた。

「あ、あの、」

 一応声を掛けてみると、相手がゆっくり振り向く。

「あ、紗央ちゃんか。後ろからだからわかんなかった」
「ご、っ、ごめん! 怪我なかった!?」
「平気。紗央ちゃんは大丈夫? 急いでたみたいだけど」

 大丈夫、と答えると叡一は安心したように笑ってくれた。
 安心したのはあたしの方だ。さっき本当にびっくりしたから、だから、安心して泣きそうになるのを堪えるのが精一杯だ。
 叡一は先に立ち上がると制服の埃を払って、あたしの手を引いて立ち上がらせてくれる。ついでに、転んだ拍子に飛んでいったあたしの革靴も拾ってくれた。

「珍しいね、すぐ下校しないなんて」

 叡一の肩を借りて靴を履く。数学の補習だったの、と答えると、補習なんて出なくても言ってくれたら教えるのに、と叡一は言ってくれる。
 それが嬉しくて、でも申し訳なくて、あたしはどうすればいいんだろう? 樹理先生はああ言ってたけど、でもあたしはそんな風に割り切ったりできそうにない。

「えっと、叡一は何してたの?」
「部活。ちょっと顔出しただけだよ」
「そうなんだ」
「走ってたけど、急いで帰らなくて平気? 紗央ちゃん」

 その質問には頷きを返しておいた。校舎から離れたかっただけで、急ぎの用事があったわけじゃない。
 
「そっか。じゃあ一緒に帰ろうか」
 
 叡一が先に歩き出す。あたしもその後を追う。
 もうちょっと、叡一に迷惑かけないでいられたらいいのに。構ってもらって当たり前なんて、あたし思ってないんだから。本当にいつも申し訳なくてありがたくて仕方ない。
 叡一の半袖のシャツの袖を後ろから引っ張って引き止める。何言おうか考えてなくて、つい引き止めてしまったから頭が慌ててるのがわかる。えーと、えーと。

「こ、これから、暇?」
「うん? ああ、何か教えて欲しいところあるの? いいよ」
「あのね、さっき先生に見てもらったから、だから、ちゃんと解けるか見ててもらってもいい?」
「勿論。一から教えなくて済む分、僕も楽だし」

 叡一の返事にほっとして、今度は隣を歩き始める。
 ちょっとずつ、でもちゃんと、叡一に心配かけないで済むようになるから。愛想尽かさないで付き合ってくれると嬉しい。そんなの絶対自分の口からじゃ言えないけど、ちゃんと、思ってるから。
 あんなに緊張してヒヤヒヤしてたのに、今はもう鼓動も穏やか。居心地がいい。叡一といると本当に楽だなあ、なんて思う。そうだ今日は冷蔵庫で冷やしてあるレアチーズケーキを出そう。そんなことを考えながら、二人で家路を辿った。





タっくんを書くのちょっと楽しいです。
あいつ自重って言葉を知らない。


点呼どんが素敵なもの書いてたのでそんな感じでまた書いてみた。
紗央からすればお兄ちゃんみたいな感じなのかもなあ、叡一くん。けど家族ではないから申し訳なくてありがたくて大好きで、って気持ちがいっぱいあると思う。奈央とか理央相手にも遠慮しそうだもんなこの紗央。多分叡一くんと喋ってるときが一番素なんだと思う。
叡一くんがリューシャさんと付き合ってるの知って、ちょっと疎外感とか嫉妬みたいのもあって、半分自棄みたいにタっくんの告白受けてたら私が楽しい。別に好きじゃないけど成り行きで、後でものっそい後悔するんだけどタっくんはあの通りの人なのでそこからどうなるかなあ、みたいな。
叡一くん捏造ごめんなさい☆


黎は樹理より成績悪いのに、樹理が休んでた日の分は勉強教えてくれる厄介さがあると思います。
でもって結局樹理に教わってる。樹理は絶対黎なんて別に好きとかじゃなかったと思うんだ、ほっとけないだけ。樹理と黎はそんな感じが可愛いかなあと思ってる。樹理はお節介な女とか大嫌いなんだ、でも黎に関しては弱い。


衝動的にFateやりたくなってPS2版買ってきた。
PC版を1周しただけでやり直してないから、2周目気分で楽しいです。
ただ眠くなる。タイプムーンの新作は買おうかどうかちょっと迷ってます!

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2010.06.26(Sat) | パロディ | cm(0) | tb(0) |

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