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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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この夜にため息




「……また来てるのぉ?」

 アパートの前であたしは肩を落とした。二階にあるあたしの部屋の前。明らかに誰かの人影がそこにはある。その影の主もあたしがここまで来ていることに気づいたらしく、ひょっこりと外に頭を出してにこにこと人懐っこい笑顔で手を振ってくる。仕方なしに部屋へと向かったあたしを、そいつはドアの前でじっと待っていた。

「おかえりアヤちゃん。遅かったんだね」
「レポートあるから図書館寄ってたんだもん」
「冬休み前だから仕方ないね」

 そいつはあたしよりずっと背が高い。高校の頃はこいつ、ずっと猫背だったからあんまり意識したことなんてなかったんだけど、大学に入ってしゃんとしたら本当はこんなに背高かったんだってびっくりしたのをよく覚えている。ドアの前にはでっかいアルミケースが置かれている。多分、中身は双眼鏡。いつも双眼鏡だから今日もそうなんだろう。
 こいつは、あたしの彼氏でもなんでもないのにこうしてちょくちょくあたしの部屋に来ては、あたしの帰りをドアの前で待っている。理由は一応、天体観測にちょうどいい広場の近くであたしが一人暮らしを始めたから。彼氏じゃないって自覚はあるのか、『帰って来ないの?』なんてメールをしてきたり電話をしてきたり、なんてことはない。でもメールだとか電話しないからって待っててもらっていいかっていうとそういうわけでもない。当然だ。これからどんどん寒くなるのに、部屋の前なんて寒いところで待たれて風邪でも引かれたらあたしが悪いみたいじゃない。
 ……なんて考えてても埒は明かないわけで。言っても直らないからあたしももう諦め気味なのだ。

「あーあ。まあいいや、入っていいよ遠藤くん」
「嵐でいいよ、アヤちゃん」
「はいはい、遠藤くん」
「手厳しいなあ」

 アルミケースを持ち上げて、あたしの後に続いて部屋に入るこの男。
 ずっと猫背で、よくどもってて、瓶底メガネだった遠藤 嵐、そいつと同一人物だ。



 今の遠藤 嵐はあの瓶底眼鏡なんてしてない。弁明しておくと、それはあたしが強要したものじゃなくて、大学に入る時に彼が自分でコンタクトにしたのだ。それをあたしが知ったのは入学してからのことで、今までとは全く違う性格にあたしが一番驚いたくらいだ。正直、遠藤くんって眼鏡外せばただのイケメンだし、着こなしがアレなだけで服のセンス自体は悪くないし。だからそれなりに大学構内でも噂になってるらしい。いやまあ、顔がコレで服がソレってだけで噂になるならいいけど、キャンパスであたしを見かけるたびに「アヤちゃーんっ」て手を振ってくるからそれも噂の原因のひとつ。ほんと、そういうガキっぽいところはアラシのまんまだ。

「お礼に俺が何か飲み物作るよ。アヤちゃん何がいい?」
「うーん、ココアかなあ」
「じゃ、俺もそれでいいや。ココアって棚の一番上にあるのでいいの?」
「うん」

 勝手知ったる手つきで遠藤くんは食器棚からマグを出して、ココアの粉を入れていく。……ちなみに遠藤くんの使うマグは遠藤くん専用のマグで、この部屋には食器が二組ずつ揃っている。最初は全然そんなつもりなかったのに、買い物とか手伝ってもらってたら、気がついたら二組ずつ揃えていた。勿論友達が遊びに来たときなんかにも食器は使うけど、あのマグは遠藤くん専用の。彼氏でもないのにあたしは何やってんだか、自分でも本当に意味がわからない。
 冷蔵庫から牛乳のパックを取り出すと、中身を鍋にあけて、火にかけて。一連の動作の後、遠藤くんはにこにこ笑いながら振り返って、ソファーでくつろぐあたしを見た。

「アヤちゃん、今日ふたご座流星群が極大なんだ」

 ……だろうと思った。
 ソファーに腰掛けて携帯をいじりながら、知ってる、と答えると、「え?」と少し驚いたような声がした。

「知ってたんだ」
「テレビでやってたもん」
「そうなんだ」

 あたしでも知ってることだから、遠藤くんは多分もっともっと前から分かってたんだろうなあ。
 遠藤くんは大学では宇宙科学系の学科に進んで、惑星がどうのこうのとか彗星がどうのこうのとか、そういうのを研究してる。でもって科学館の手伝いのバイトしつつ、そこの科学館にあるプラネタリウムの解説員の隣でいろいろ勉強しているらしい。だからてっきり解説員になりたいのかと思って聞いてみると、そういうわけでもないみたいだ。一応学芸員の資格も教員免許も取るけど、遠藤くんが本当になりたいものっていうのは研究者であって、解説員とかそういうのではないんだという。NASAだのJAXAだのってスケールでかすぎるけど、けど遠藤くんが言うならあたしもちょっとは応援してしまうかもしれない。
 そんなあたしも感化されたのかなんなのか、文学部でギリシャ神話研究の真似事なんかしちゃってる。ほんと、なんにもならないのになあ。もうちょっと実践的な学部に進めばよかったのに、何でわざわざこんな道に進んでしまったんだか。

「そうだアヤちゃん、冬休み何か予定ある?」
「んー? サークルの飲み会、なかったっけ? 春休みの合宿の詳細決めるって体で」
「それとは別で」

 にこりと笑って、遠藤くんは温まったミルクをマグに入れた。ふたつ並んだマグの中身を、順にスプーンで掻き回す。
 遠藤くんはもちろん(というべきなんだろうな)、あたしは何故か、天文研究のサークルに所属している。学部とか校舎が違っても、サークルで顔を合わせることは少なくない。人数もそう多くないサークルで、同じように天文研究と銘打っていても実質飲みサーになっているようなところと違って、割としっかり活動をしているサークルだ。
 冬休みはあまり長くないし、後期試験やレポートだとか論文の準備もあるから合宿なんかは全部春休み。その春休みの合宿の詳細を決めるための飲み会っていうか親睦会っていうか忘年会っていうか新年会っていうか、つまり詳しくまだ決まってないんだけど、とにかくそういうのが冬休みには予定されてる。

「あとはバイトとか、それくらいかなあ」
「俺と軽井沢行かない? 夏休みに行ったところ」
「軽井沢?」

 ココアを溶かし終えた遠藤くんが、マグをふたつ手にして戻ってくる。あたしのマグを手渡すと、そのまま隣に腰を下ろす。

「軽井沢って、あの望遠鏡とか揃ってたペンションの?」
「そう。せっかくだから冬の夜空もどうかなと思って。もちろん、俺が誘ったんだから料金俺が払うよ」

 ずず、とココアを啜りながら考える。甘い香りが口いっぱいに広がった。
 遠藤くんの言う軽井沢とは、軽井沢のペンションのこと。ちょっとしたドームだとか、天文関係の資料とか、天体望遠鏡まで揃ってるペンションで、オーナーさんが天文好きなんだとか。実は夏休みにも誘われて、サークルとは関係なく二人でそこまで行った。しかもしかも、料金は全額遠藤くん持ち。それの何が問題だったかって、この男、何を思ったかツイン一部屋しか予約しなかったのだ。万が一にも何もないからツインにしましたと言わんばかりの爽やかさだった。事実何もなかった。部屋に付属のお風呂に漬かってた時にひょっこり顔出して来たときは思わずシャンプーのボトル投げつけたけど、それ以外には本当に何もなかった。
 いや、言いませんけどね、別にあたしは遠藤くんが嫌いとかそういうんじゃなくって、そりゃあまあ、二人だけで旅行してもいいかなと思ってはいるくらいだし、ツイン一部屋だってもう一部屋取れなんて言わなかったし、だからまあ、遠藤くんにそういう気があるなら、ねえ? 別に嫌とかじゃないんだけど、夏の一件でおそらくそういうのは永遠にないだろうと実感いたしました。何かあって欲しいってわけでは決してないけれど、でも、ないのはないで、それもどうかと思うわけで。遠藤くんは幸せそうにあたしの隣でココア啜ってやがるし。

「いーですけどね、別にぃ」

 ほっこり温かな息を吐き出す遠藤くんを横目で見つつぼやくと、何故だか彼は「え!?」と目をきらきらさせた。何事だ。

「え、いいの!? 一緒に来てくれるの!?」
「え!? え、いや、あ、そういう意味で言ったんじゃ、」
「俺アヤちゃんいないとテンション上がらないからさー! 隣にアヤちゃんいてくれなきゃダメなんだ」

 ここまで言われるともう怒ったらいいのか喜んだらいいのかさっぱりだ。どんなに考えたところで、遠藤くんがそんなに真剣に考えて喋ってないこともあたしにはわかる。
 この人生、諦めたと思ってこの男友達に付き合ってやるのもいいかもしれない。ていうか多分、神様があたしにそう言ってるんだ。綾奈、来世では王子様と結婚させてあげるから、今はその男に付き合ってやりなさい、ってね。しょうもない神様もいたもんだわ。

「……いいですけどねー、別にー」
「ほんと!? ほんとにほんとだね!?」
「星見るの嫌いじゃないし。全部遠藤くん持ちなら断る理由もないかなって」
「じゃあ行こうね! ちゃんと俺全部用意するから、絶対だよ! はい約束っ」

 ソファーの目の前のテーブルにマグを一度置くと、遠藤くんは勢い良く右手の小指をあたしに突き出してきた。なんのつもりやら。お子ちゃまじゃあるまいし。
 あたしがかなり躊躇していると、ほら早く、と遠藤くんが急かす。仕方なく、その小指にあたしも同じように小指を絡めた。子供の頃以来していない指切りをする。懐かしい気持ちになるのと一緒に、なんかよくわかんない感情に支配される。何やってんだろう、あたし。
 指が離れると、あたしはすぐマグで顔を隠すようにココアを飲んだ。

「それで、流星群って何時頃が一番見ごろなの?」
「うん? 日付変わるくらいかなあ」
「……また泊まってくの?」

 これが初めてでないところがミソだ。だからこそこやつは夏に軽井沢行った時もツインしか予約しなかったんだ。あたしと同じ部屋で寝ることに慣れてしまったから。

「ダメかなあ?」

 あたしの機嫌を伺うように遠藤くんが首を傾げる。ダメかなあ、じゃない。普通ダメに決まってる。でもだからって外で風邪引けと言うわけにもいかず。

「……ほんと、遠藤くんはこれだから」

 あたしは盛大にため息をついたのだった。






やっと終わった……!!!
ふたご座流星群が極大になる前に書き出したんでそんなネタです。
パソコンはつけてもなかなか書きあがらなかったんで、なんか嬉しい。
今書きたいものはリベリオンだとか真紘と水希ちゃんだとかなんですが、前者もどうしたらいいかわからんし、後者はもっとわからん。
リベリオンで珍しくカッコイイ大和を書きたい。無理か!(爽)


ダンガンロンパが終わったんで、うみねこやってます。まだEP1終わらないよ!
選択肢もないのでただオートリードで声聞いてるだけです。早くベアト出ないかなー。
バトラがイケメンすぎてどうしよう、と毎回思います。あー、マジでウィルの声中井和哉やらないかなあ!!(最近一日一回は言ってる)
2月にはキャサリン買わなきゃだから、それまでには終わらせたいな……。
1月の冬休みにはまた京都行こうかと思ってます。やっぱりどっか行かないと勿体無い気がする。でも寒そう。


この前は同期と忘年会でした。違うお店の話聞くのも割と楽しい。うちの店は同期が多いんで羨ましがられます。最近失敗続きだったけど、心機一転ってことでリセットして頑張りたいです。年末だしな!!!
部屋の掃除をする暇がないので妹とおかんがやってくれました。ありがたやありがたや。


1月の集まりは3日で大丈夫なんだろうか。この前同期と行った池袋の居酒屋が、ミルキーウェイの居酒屋バージョンみたいなところで楽しかったんで、みんなで行きたい。

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2010.12.19(Sun) | Title | cm(0) | tb(0) |

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