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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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スノウメモリー 4



 俺の両親は、かなり仲の良い方だと思う。
 かなり、というか、未だにバカップルと呼んでも差し支えないんじゃないかと思うくらいには、仲が良い。はとこにあたる黎と櫂の両親もすごく仲が良いけど、あそこのとはまたちょっと質が違うように、俺は思っている。
 もちろん、両親の仲が良いのに越したことはない。その方が望ましいのも分かっている。けれど、一応思春期の男としてはそういうのは少し微妙なわけで、母さんが大体正しいことを言っているのも、加えてそこらへんでは簡単には見つからないような美人だということも客観的に理解していて、ババアと呼んだりする。まあ、ババアに限っては自分がどれくらい綺麗かとかわかってるみたいだから別にいいんだろうけど。
 みのりは、これでいいという。こんなに仲がいいお父さんとお母さん、他じゃなかなかいないよ。そう言う。そうだろうか。俺は、母さんに置き去りにされているような感覚が、少し前から拭えずにいる。
 俺が中3の頃だったか、ちょうど高校受験を控えている時期で、家族が寝静まった後でも勉強していた。俺はそんなに偏差値も高くないから、ツキ高を狙うなんて言った時、教師に笑われそうになったのを覚えている。だから、睡眠時間を削って勉強、ってのが効率悪いと言われようと何だろうと、俺は勉強しなくちゃいけなかったから勉強していたのだ。
 途中で席を立って、空になったマグカップを手に、眠気覚ましのコーヒーを淹れるために階下のキッチンへ。両親の部屋は一階。階段からキッチンへ向かう途中にある。その日はたまたま薄くドアが開いていて、冬だし寒いだろうと親切心でノブに手をかけた。廊下の明かりが部屋に少しだけ入って、照らし出された暗い部屋の向こう、寝そべるふたつの影。俺はその姿を見て、ドアを閉めることなく、その上コーヒーも淹れずに部屋に戻り、すぐに電気を消してベッドに入った。
 
 母さんが、父さんの手をきゅっと握って眠っていた。

 その映像は俺にとって衝撃的で、いつももっと老けて見えるはずの母さんが、みのりくらいの、少女と形容してもいいくらいの表情に見えたから、余計だった。こんなの、子作りの現場目撃した方がまだショック小さい。本気でそう思った。きっとあの母さんの中に、俺やみのりはいない。俺やみのりの存在なんか考えもしなかったような若い頃の母さんがそこにいたんだと思う。一度失くして、やっと見つけたもの。それを離すまいと必死になっているようにも思えてきて、これじゃ絶対受験失敗する、なんて考えて泣きそうになった。もし本当に失敗しても、その理由なんて言えるわけがない。だからこそまたショックが大きくなって、思春期ってこういうもんかと悟りまで開けそうだった。
 高校に入ってから、幾分か落ち着いて、ぺらぺらよく喋る叔父さんの話を聞いてやっと合点がいった。母さんは高校の頃父さんと出逢って、すぐに離れてしまって、父さんとどこかで会いたくて警官になって、十年近くそうやってすれ違っていたのだという。母さんが父さんと再会できたのが、黎と櫂の両親の結婚式だとかで、なのに黎と櫂より俺の方が年上なんてそれどういうことだよ、とも思うけど、それはそれで置いといて。その頃からたまに母さんのから自分の恋愛遍歴とか聞くようになって、それ聞く限りじゃ不倫だのなんだのろくなロマンス経験してない。しかも全部捨てられてるし。そんなんじゃ尚更父さんとは離れたくないだろうな、とは、思う。でも多分、離れたくないのは父さんとであって、俺ではないし、多分、みのりでもない。俺の顔が父さんに多少似ていても、俺ではない。もう親からは自立して生活できる年齢ではあるけれど、その事実は少なからず衝撃を与える。母さんは、もう結婚して二十年近くになるのに、失くしたその時の恐怖を今も覚えているんだ。そのことは、単純に、可哀想だ、と思う。
 そういうことがあるから、俺からすると椿や樹理はかなり幸せそうに見える。俺だって相当恵まれていることはわかっている。椿みたいに家の縛りはないし、樹理には母親がいない。それに比べて俺は、父さんはもう芹沢と縁を切っているし、両親とも健在だし。ただ、本質的に、母さんの中に俺たちはいないんじゃないか。と、俺がそう感じている、それだけ。それだけなんだけど、俺からは簡単に取り除けないしこりだった。

「あー……ま、椿は別、か」

 樹理と一緒に歩いてるってのに俺はそんなことをつらつらと考えていて、椿はちょっと違うな、と結論づけて思考を止めた。樹理は俺の呟きに、ライトグリーンの大きな瞳でこちらを見て首を傾げる。

「いや、何でもないよ」
「気になるじゃないですか」
「じゃあ気にしてりゃいいじゃん」
「何ですかそれ」

 俺は樹理とは仲がいいけど、樹理の父さんが樹理と一緒にいるところはあまり見たことがない。学校で化学の先生はしているけれど、校内じゃやっぱり教師と生徒だし。見た目が全然似てないから親子だとはバレないし。ああ、でも、樹理が髪染めてまっすぐにして、カラコン入れたら結構似てるのかも。色が違うだけで印象はかなり違うもんなんだな。
 樹理の父さんは、実年齢よりずっと若く見える。実年齢も相当若いんだけど。まだ四十にはなってなかったと思う。樹理は二十歳ちょいの頃の子供とか聞いた覚えがある。全部叔父さん情報だけど。樹理の母さんはアメリカ人で、向こうで死んでいる。元からすごく体が弱くて、孤児院から出る年齢になっても、ひとりで生活するのが危険だからずっと留まっていなきゃならなかったくらいだとか。そんな女に子供産ませていいのかよ、と思わないこともないけどやっぱりそれも置いておく。とにかく、樹理はそうやって生まれた。樹理の父さんが大学を出る年に樹理の母さんは死んで、まだまだ若い樹理の父さんはちゃんと樹理を連れて帰国した。何を置いといても、その事実だけあれば十分だろう。ちゃんと、愛されている。樹理の父さんは樹理のことを考えるから、樹理を連れて帰ったんだ。

「樹理こそ、何か考え事か?」
「へ?」

 緑色の瞳が間抜けに見開かれた。

「叔父さんと話してる時、神妙な顔してただろ」
「あー……、あれは」

 樹理は何か続けようとしたが、十メートルほど向こうに喫茶店の看板を見つけると、

「続きはお茶飲みながらにしましょう」

 区切りをつけるように、そう言った。俺も同感。ひとつ頷いて、まずは暖かい店内へと急いだ。




12時間睡眠でした。
テスト終わったと思うと気分がものすごく楽になってしまう。


2日はTOEICか。DSやらないと。その前にレポートもやらないと。


樹理とかルカは素で複雑なので書いてて楽しいです。
椿もそれなりに楽しめます。
でもやっぱりどん底みたいな暗い話が書きたい。
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2008.01.29(Tue) | 未来話 | cm(0) | tb(0) |

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