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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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ひつじくんのちんもく



 町の夜は、どこまでも深く、暗い。要と別れて、入り口の鉄柵を閉めると俺はため息をついた。ここは城下町ではないからそこまで厳しくはないが、それでも門限の時刻を過ぎれば外に出られないわけで、門を閉じられてしまえば俺は家に帰れない。ランタンの明かりを頼りに、家路を急ぐ。あまり遅くなっては椿を心配させてしまう。
 いつもはここまで遅くはならない。日が暮れる頃には墓地を出ているのだが、今日は貴族墓地だけでなく共同墓地まで手を伸ばしてしまったため、なかなかキリのいいところまで作業が終わらなかった。対価に見合わない仕事はするもんじゃないと心底思った。共同墓地なんて金にならないんだから手なんて出さなきゃよかった。……とは前々から思っていたのだが、それでも荒れてりゃ気になるってもんだろ。要もいちいちどこが荒れてるってぽつぽつ独り言みたいに報告してくださるし。まあ、いいんだけどさ。金にならないってわかっててやってんのは俺なんだし。
 ここ最近多発している吸血鬼事件やら何やらの影響で、人の影はひとつも見えない。元々この時間に人なんて出歩いちゃいないが、もう少しくらい物好きがいたと思う。物好きさえ引っ込む時間だ、警吏に見つかって変な嫌疑かけられんのも嫌だし、暗い路地を早足で通り抜けていく。
 
「っ、と」

 細い路地を曲がったところで、人影とぶつかる。ランタンの明かりが揺れた。
 悪い、と言いつつ明かりをかざす。俺はあまり衝撃を感じなかったから、相手はおそらく小柄だろう。明かりの下で確認してみると、相手は本当に小柄な女だった。相手は「いたいー」と額を押さえている。多分俺の胸にぶつかったんだろう。

「悪い、急いでたんだ」
「悪い、じゃないよ! もうっ、こんな時間に出歩いてちゃダメでしょー!?」

 次いで女はぱんぱんと服のほこりを払い落とし、腰に手を当てて怒り始めた。出歩いちゃまずいのはお互い様ではないだろうか。
 腰ほどまである長い髪を揺らして、女は頬を膨らませた。行動と見た目のギャップがあって、年齢がよくわからない。俺と同じくらいに見えないこともないし、ずっと年上のようにも見える。

「出歩いちゃまずいのは俺より寧ろあんただろ」
「? なんで?」
「なんで、って……」

 いちいち聞くことか、それ。夜なんか暗いばっかで何もいいことなんかない。何がいるか分かんねぇんだし、家に鍵かけて篭っておくのが正解のはずだ。俺にだってそれくらいわかる。
 時間は気にかかるが、知らない奴とはいえ女を一人で夜に放っておけるほど俺も馬鹿じゃないし無情でもない。

「家どこだよ、送ってく」
「え、それもなんで!?」
「最近物騒だってことくらい知ってんだろ。吸血鬼だなんだって、夜だし変な奴いないとも限らねぇし」
「あー、そかそか」

 女はやっと理解したとでも言うように明るく笑う。……やっぱ年齢不詳だ、読めねぇ。
 笑いながら、男の子に心配してもらったって言っても妬いてくれないだろうなぁ、と独り言を呟き、それから「どうも」と俺に頭を下げた。

「ご心配は嬉しいのですが、私そーゆーの全然怖くないので! ご安心ください!!」
「怖くないって、気の持ちようと実際に遭遇するかどうかは別問題だろ」
「うーん、それはそうなんだけど。私強いから多分襲われないっていうか、いざとなったら最愛の王子様が助けに来てくれるので」

 ……いや、まあ、俺も早く帰りたいわけで、本人がそう言うなら構わないんだろう。これで明日の朝こいつが死体で発見されたとしても俺には何の責任も無い。多分その最愛の王子様とやらに会いに行く途中なんだろう、と思う。夜に出歩くのはあんまり関心しないだろうけどな、その王子様も。

「それじゃあ俺は」
「ところで」

 もうここを離れようとしたところでそんな声が掛かる。
 女は左手の人差し指で自分の下唇をそっとなぞりながら、上目遣いで俺を見る。先ほどまでと雰囲気が変わった気がして、何故か背筋がぞっとした。

「なん、だよ」
「君はもしかして、薄給激務でコキ使われている墓場の庭師君ですか?」
「……肩書きはアレだが、まあ、間違ってはいない」
「じゃあこれから壁の外に帰るんだね。妹ちゃんは元気?」

 目を見開く。
 初対面の女に言われる情報か、これ。
 
「なんで、それを」
「うふふ、おねーさんはお友達が多くってね。この町のことは大体わかってるつもりだよ? 君が朝早く壁の外から来て、一日中墓場のお手入れして、かと思えば教会のお手伝いもさせられて、帰るのは夜遅く。妹の具合が悪くても生活するためにはお仕事休めないもんね。それだけ大変なことしてるのに、支払ってもらえるお金は本当に微々たるもので、――かわいそうだなあって思ってた」
「……るせェよ、あんたには関係ない」

 女は笑う。見下したように、ではなく、本当に面白いものを見ているかのように笑うから、余計に苛立った。
 俺に同情なんかいらない。同情するなら俺じゃなく椿にしてやってくれ。町に入ることができず、誰と顔を合わせることもなく壁の外側で毎日ひとりきりでいるんだ。かわいそうだと思うなら、椿に思ってやって欲しい。俺なんてただの守銭奴だ、生きるためにその微々たる金を必死こいて稼いでる。

「妹ちゃんがいなかったらもう少し自由なのにね、君も」

 ランタンの取っ手をぐっと握る。光源が不安定に揺れる。 

「っ、ざけんな、俺はそんなこと、思っちゃいない」
「うん、思ってないだろうね。けど客観的事実ではあるよ? だって君ひとりならこの町に住むことだって不可能ではないし、もう少しいい環境で働くこともできるだろうし。ただでさえ対価と働きが見合ってないのに、そのわずかな対価さえ自分のためには使えないんだもんね」
「あんたには関係ねぇって言ってんだろ!!」

 俺が声を荒らげれば、女は少し驚いたように目を大きくした。その後不満そうに目を伏せ、一歩俺に歩み寄るとまた俺を見上げる。

「ごめんね、要らないこと言って。からかいたいんじゃないんだ」
「からかいたいんじゃなきゃ何なんだ」
「うん? 年上のおねーさんに興味はないのかなあ、って」

 は? と聞き返そうとして開いた唇が、そのまま動かなくなる。女が背伸びをして俺の首に腕を絡めた。とっさのことでどうしたらいいかわからずに後ずさると壁にぶつかる。追い詰められている。得体の知れないものに出会ったような、恐怖にも似た感情に支配された。冷や汗とも脂汗とも自分では判別のつかないものがじとりと体を湿らせているのがわかる。


「私なら、君を自由にしてあげられるよ」

「おねーさんが手取り足取り、ぜぇんぶ教えてあげる」

「君が知らないいろんなこと、時間掛けてゆっくり、教えてあげるよ……?」


 甘ったるい声、が、耳元でする。
 今までこんな状況が自分の身に降りかかるなんて考えたこともないから、どうしたらいいのか分からない。振り払おうにも、女からふわりと漂う、甘い香りで、うまく頭が働かない。
 でも脳はひっきりなしに警報を鳴らして、早く逃げろと俺を急かす。
 女が俺の首筋をゆっくりと舐め上げる。生温かい舌の感触にぞわっと皮膚が粟立つ。くすくす小さな笑い声といっしょに、かわいい、と呟く女の声。
 女が息を吸う音。
 やばい、と目を瞑った。



「おーい、こんな時間に逢い引きとはけしからんぞー」



 遠い路地の向こうから声がする。ぼんやりとランタンの明かりも見えた。横目でそちらを見ると、どうも警吏の巡回らしい。ぐっと手に力を込めると、動けるようになっている。もうこの機会しかない、と女を振り払う。

「ッ、あれ巡回の警吏だろ、用があんなら送ってもらえよ、それじゃあ」

 ランタンの明かりを大きく揺らして、全力疾走。門が閉まらないうちに。ああ早く、早く帰らないとどうにかなりそうだ。 
 現実に戻った途端心臓がばくばく言い出して、止まらなくて、息の仕方も分からなくなるくらいに走った。
 粗末な家の粗末な扉を乱暴に開けた時には汗で服が濡れていた。

「にいさま?」

 肩で息をする俺に椿が声を掛ける。その表情は見えないが、さぞ驚いたことだろう。

「にいさま、大丈夫ですか?」
「ああ、……平気だ。お前こそ大丈夫だったか? 悪かったな、こんなに遅くなっちまって」
「いえ、夕方までブラウが遊びに来てくれましたから、寂しくなかったですわ」
「そうか、なら、よかった」

 後ろ手で扉を閉める。しっかり鍵を閉めて、施錠したことももう一度確認した。
 椿が、今日は用心深いですわね、と笑う。用心深いに越したことはないだろ、と俺は曖昧に笑って返した。
 
「あら」

 ベッドの上の椿が、不意に部屋をくるりと見回す。

「甘い香りがしますわね。兄様、高価なユリでも取り扱ったんですか?」
「あ、……ああ、そう、だったかも、な」

 甘い香り。甘ったるい声。気持ち悪くなるくらい甘い時間だったのに、何故か死と隣り合わせだった気がしてならない。
 頭を振って、さっきまでの出来事は夢か幻だと割り切ることにした。
 窓の向こうで、夜が更けていく。






「あらあら、どこの馬鹿がいちゃついてんのかと思ったらヨーコちゃんじゃない」

 笑いながらこちらに近づいてくる警吏がふたり。かわいそうな羊くんは全力疾走で逃げ出してしまった。近づいてくるふたりには聞こえないように、小さく舌打ちをする。
 久々にいい出会いがあったと思ったのに、空気読まない男は嫌われるわよ、私に。

「あらあらあらぁ、あのタイミングで声かけてくる野暮な男はどこの誰かと思えばシーマス君にケレス君じゃないっ」
「だぁれが野暮だ、仕事してるだけだろうが」
「普段まともに働いてないくせにそーゆー時だけ仕事持ち出すなんてね。欲求不満なんじゃないの?」
「年下の男の子食おうとしてたヨーコちゃんに言われたくないなー。うん? そんなに相手欲しかったんなら俺に相談してくれればいいのにー」
「つーかお前、ゴシュジンサマ一筋なんじゃねぇのかよ」
「もちろん! ヒサくんの右に出る男なんて現世にいるわけないでしょ!」

 え、既にここにひとりいますけど! と手を上げるシーマス君はスルー。 
 もちろんヒサくんが一番好き。大好き。でも、ヒサくんはなかなか触れさせてくれない。一緒のベッドで寝るのはいいみたいだけど、ヒサくんにとって私は多分人型のペットみたいなもので、一緒に暮らしている以上の何にもならないんだろう。それがとても歯がゆい。私がどれだけ愛しても、返ってくることはない。ヒサくんは私が欲しいと言う時に血をくれるけど、直接触れさせてはくれない。最初はグラスに少し入れて渡してくれていたけど、その切り離された感じが寂しくて、最近は入れたてのコーヒーや紅茶に数滴混ぜてもらうだけにしている。それだけでも十分私は彼を味わうことができる。彼が私をまだ生かす気があるのだという事実を噛み締めることができる。例え何も返ってこなくても、彼の視線が壁の肖像画にばかり向けられているとしても、構わない。その分溜まった鬱憤を他で晴らすくらい構わないじゃない?

「逃げてったあの男さあ、墓場の雇われ庭師君じゃないの? あんなの土臭いばっかだしガキだし何の経験もないし、面白くないと思うけど」
「馬鹿だねえシーマス君。だからこそ美味しいしお互いイイ思いができるってもんでしょ?」

 ふふん、と笑う私に、「まるで魔女だな」とケレス君が言う。うん、それいい褒め言葉だわ。

「あーあ、何かもう気が殺がれちゃった。帰ってヒサくんにべたべたする」
「振られちゃったもんねぇ、帰るしかないよねー」
「そこうるさい! はい、じゃあ邪魔した罰として私のナイトをなさい! 吸血鬼とかで物騒だもんね、私可愛いから襲われちゃうもんね、町の平和を守るおまわりさんとしてはこんなかわいこちゃんは放っておけないもんね!」
「おいシーマス、仕事戻るぞ」
「そーだね、路地裏で困ってる美女とかいるかもしれないし」
「人の話聞きなさいよー!!!」

 私を置いて行こうとする警吏二人の間に割り込んで二人の腕をがっしりガードして歩き出す。
 路地を曲がって、一度だけ振り向いてみる。


 ――羊くん、今度いつ会えるかなあ?






大和が帰ってからの方が書きやすいというのは言うまでも無くwwww



「父様って、親子設定がなくなると途端に性格が変わるので、何と言うか、少しアレですわね……」
「椿のところはまだいいだろ、うちの父親なんてブレが無さ過ぎて不安っつーか……」

という会話を椿と炎而くん(本筋)にしてほしいと思いました。大和のブレ過ぎと風哉くんのブレの無さはいい対比だと思うの!


貴久さんと一緒に寝てる時に、夜這いじゃないが不意打ちで首に噛み付こうとしたところも阻止されてたらいいなと思いました。瑶子さんは慢性的に欲求不満なんだよ! ホント理央かわいそう!(最近の口癖です)
ランタン使っていいのか、たいまつの方がいいのかとかいろいろ調べたけど、創作だしいいよもう!と投げてランタンにした。深く考えたら私何も書けないもの!


貴久さんがちょっとデレたら瑶子さんそれだけで二ヶ月くらい生きられると思う。
で、延々その惚気話を警吏のふたりに聞かせて、「「それもう二十回は聞いた」」とか言われればいい。
瑶子さんほんとブレねぇなwwwww 絶対風哉くんと気合うと思うwwwww




本当はルミと出会ってからこの話にしようと思ってたんだけど、まだ書けそうになかったのでこっちからにしました。うん、なんでもいいやもう! ほいで、みんなもっと頑張れ!! 私は大和とルミ(ご近所)の続き書く!!

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2011.02.05(Sat) | Grave Garden | cm(0) | tb(0) |

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