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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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賽は投げられた
『聞いた? A組の水城、新しい彼女できたらしいよ』
『どうせまた別の学校の子なんでしょー? 毎回すっごい噂になるよねえ』
『それがさあ、今付き合ってるのはうちの学校の女子なんだって』
『ほんとに? 水城と付き合えるほどかわいい子なんてそんなにいたっけ?』
『聞いた話なんだけど、罰ゲームらしいよー』
『うわー、やっぱ顔がアレだとやることえげつないなあ。彼女かわいそー』

 放課後、そんな雑音ばかりの廊下をかつかつと歩く。ざわざわとやかましい奴らは俺が歩けばさっと道を開けてくれる。そいつはありがたいが、それよりもその雑音をどうにかしてほしい。
 俺はこの学校の女子と付き合っちゃいけねえのかっつんだよ、しかもそんな可愛い子としか付き合えないってどんだけ俺のハードル上げてくれてんだよこいつら。
 つーか。つーか、つーか、つーか!!

(どこで飛躍してんだその噂ッ、告ったの俺だし、第一罰ゲームじゃねぇし!!!!)

 罰ゲーム罰ゲームと言われているのが腹が立つ。確かにきっかけは罰ゲームで間違ってはいないが、俺の罰ゲームではなかったし、落ち着いた時俺は心底ほっとしたんだ。それがこのザマだ、ほんと、あいつにも申し訳ないことしてると思う。後で謝んないとな、心にもないこと言われてるだろうし。
 食堂の隅にある丸テーブル。そこに腰かけて本を開く女生徒。腰近くまである長い髪はこげ茶色に染められ、綺麗に波打っている。前髪は、最近長めだ。ピンで留めるからそんなに気にならないのだと言っていた。眼鏡は最近たまにかけるのだという。度はあまり強くないらしいから、ファッションの一部でもあるんだろう。前髪を軽く留めるピンと同じ、クリアレッドの縁の眼鏡。レンズの向こうに見えるまつ毛は、実は結構長い。
 彼女は目を伏せて、静かに本を読んでいた。本っつっても、多分参考書か教科書か何かだ。更に近づけばわかる、それは古文の参考書だった。ま、文系だしな。

「お待たせ、葉山」

 言いながら目の前に腰を下ろすと、「わ」と声を上げて葉山は頭を上げる。それから慌てて髪を手櫛で整え始めた。

「は、早いね! 水城のことだからもっとかかると思ってたっ」
「そう思われてんだろうなと思って早めに切り上げた。あんま待たせんのも悪いし」
「気にしなくてよかったのに」
「いーの。聞き始めたらキリないんだ。これくらいがちょうどいいよ、せんせーもやっと解放されたー、って顔してたし」
「それは想像つくかも」
「勉強熱心な生徒への態度としちゃ適切じゃないよなあ」
「水城のは生徒のレベル超えちゃってるの。自覚ナシ?」

 ぷっと吹き出す葉山につられて、俺も笑う。なんつーか、こう、友達の延長で付き合ってるって感覚はこれまで経験したことがないものだったので、新鮮でもあるし、ものすごく居心地もいい。もっとも、今のところこの状況に落ち着いているのは俺だけなんだろう。葉山は俺と付き合ってるって周りに知られてから、いろいろ陰で言われてるみたいだ。俺が納得できる理由は、今んとこ、聞いたことないけど。
 そんなことを思いながら、目で葉山を追っていた。視線に気づいたらしい葉山は、照れたのか参考書で顔を半分隠すと、「なに?」と小さな声で聞いてくる。

「んーん、なんにも。用意できたら、行こ?」

 なんですか、俺ってこんな優しい声出んのな。って、自分でちょっとだけ意外に思ったりしている。 




 試験前で英語が不安だと葉山が言った。
 それなら見てやるよと言ったのは俺だ。
 ついでだったので、親いないしうちに来る? と言ったのも俺だ。
 学校より自分の部屋の方が落ち着く、という意味でその時は言ったのだが、俺の言葉を聞いた時の葉山はひどく驚いていて、きょろきょろ周りを見て、話しかけられているのが自分だけであると十分に確認した上で、更に悩んでいた。付き合い始めて一か月弱、あれって結構爆弾だったのか、と気づいたのはその日寝ようと部屋の電気を消した瞬間だった。
 学校の正門を出て、坂を下る。右隣に葉山。別に珍しくもない構図だけど、見え方が今までと違うのは確かだった。

「水城のおうちって学校から近いんだ」
「近いよ。歩いて通えるし」
「野島くんは遠いのによく頑張るよねー」
「……ほんと、だよな。片道二時間近く掛かんのに朝練とかさ。よく留年しないでこの学校のレベルについてってるなと思う」

 道中の会話はくだらない。A組のこと、C組のこと、授業のこと、先生のこと、部活のこと。いつも通りってやつだ。付き合い始めたからって学生同士だし、急に会話が甘くなるなんてことはない。だからたまに意識が希薄になる。不安とか、そういうんじゃなくて、どこからが現実なのか、よくわからなくなる。
 本当は何度だって確認したい。電話でもメールでも、直接でも、俺のこと好き? って問いかけて、うん、って笑って返して欲しい。それが女々しいことで葉山に対して失礼なことだってわかるから押し殺すけど、そういう感情はゼロじゃない。葉山は、堂々とした奴だから。全部を普通に頑張ってるから、そこが俺にはすげえきらきらして見える。平凡かもしれないけど、それを恥じることも特別に誇ることもない。自分であることに堂々としている。
 ローファーの底がアスファルトを叩く。その音が、二人分響く。別段近くもなく、遠くもない距離。これでいいのか、俺。

(いいわけねぇだろ、俺だって普通に男子高校生だっつの)

 不安なのかと聞かれたら首を横に振る。じゃあどうしてここから動けないのか。俺はやっぱり負い目があるのか。でも俺は、正面からきちんと勝負したはずだ。それは間違ってない。絶対に、間違ってなんかいない。俺は、先手を打っただけだ。
 ……不安なんじゃない。ただ緊張しているだけだ。先手を打てても、あいつはきっと追ってくる。あいつがそういう奴だって、一番よく知ってるのはほかの誰でもなく、俺じゃないか。

「水城?」

 まだ見慣れない眼鏡姿の葉山が、目をきょとんと丸くさせて俺を見上げる。うん、いいんだ、こんなもやもやは、よくあることだ、そうだろ?

「なに見てんの。そんなに俺かっこいい?」
「ぷ、なにそれ」
「てっきり見惚れてるのかと思って」
「否定はしないでおくよ。物憂げな感じも変に似合うからね、水城」
「それこそなんだよ。わけわかんねえ」

 ――きっかけは、本当に些細なことだった。
 ヤマトの家の離れで、俺とヤマトと慎吾と都筑とで集まってポーカーで一勝負。ビリが一位の言うことを何でも聞く、っていうよくある罰ゲームを設定して、いざスタート。ポーカーフェイスなんて気取れるはずもなく、ルールにもギャンブルにも疎いシンゴが負けるのなんてほとんどわかりきった話で、勝てると信じてたのは当の本人くらいなもんだった。俺は知らなかったが、ヤマトと都筑はどうやら慎吾を負けさせるべく手を組んでいたらしく、一位はヤマトだった。
 勝者たるヤマトが敗者である慎吾に命じたのは、『3-Cの葉山ルミに告白してくること』だった。
 ……そんなの、罰ゲームでもなんでもない。慎吾の背中を押しているにすぎなかった。慎吾が葉山に好意を寄せているであろうことは、俺だって知っていた。どうやら球技大会の関連で何度かパスの時やドリブルのフォームをチェックしたことがあったらしい。葉山センパイ、いいっスよね。やわらかな表情と声で、慎吾は俺にそう言ったことがあった。わかりやすい慎吾のことだから、クラスメイトの都筑に相談することもあったのかもしれない。都筑が面白がってヤマトに報告をしたのかもしれない。ヤマトと都筑からすれば、成功しても失敗しても笑い話のネタくらいにしかならないが、俺は、どうしてもそうはいかなかった。
 越されてはならない、と。慎吾が先に口にすれば、それはきっと成就してしまうから。
 知っているんだ、葉山に今彼氏がいないこと。野島くんって大型犬みたい、一緒にいたら絶対飽きないよね。と楽しそうに話していたこと。
 越されてはならない。俺にはわかる。慎吾は“必ず掴む”男だ。だから、先を越されることだけは、あってはならない。いつから慎吾が葉山を見ていたのかは、正確なところまではわからないけれど、それでも俺の方が長く葉山を見てきた。今まで見ているだけでよかったはずなのに、慎吾の顔がちらついた瞬間に、手元に置かなければと心が焦りだす。
 葉山に俺から告白したのは、その日、ヤマトの屋敷から帰る途中だった。合唱部の練習で遅くまで残っていた葉山と、校門でばったり遭遇したのだ。幸いなことに慎吾は妹からの電話があって一足早く帰宅していた。焦りと、嫉妬、いろんな感情がごちゃごちゃになる。見ているだけでよかった、その頃の純粋な気持ちを見失う程度には追い詰められていた。

 ――なあ葉山、俺と付き合わない?

 その時の俺の声は、どうだっただろう。震えていただろうか、真っ直ぐ通っていただろうか。

 ――遊びなんかじゃなくて、マジで。

 その時の葉山の顔は、暗がりでよく見えなくて、けど、「あたしなんかでいいの?」という小さな声は確かに聞こえた。
 葉山がいい。お前じゃなきゃ嫌だ。言葉にしようとすればするほどこんがらがる気持ちを、俺はどう伝えたんだろう。余程焦っていたのか、その頃の記憶はひどくおぼろげだ。
 これが最善のはずなのに、胸につっかえるこの気持ちはなんだろう。どうして、隣にいるはずの、一番大事な人に距離を感じるんだろう。




 あれから慎吾とはなんとなく顔を合わせづらくて、部活に顔を出すのも気が引けていた。俺と葉山が付き合うってなった時、「横取りたぁ大人気ないねぇ」と言ったのはヤマトだけだった。俺はその言葉に反論することも肯定することもできなかった。答えなんて出なかった。

『……軽蔑するか?』

 ただそれだけ問いかければ、ヤマトはゆっくりと首を横に振った。

『別に。いーんじゃね? 葉山がOK出したんなら、野島が無駄に傷つくこともなかったってことだろ。特別好きな奴いないのに相手が水城だからって理由だけでOKするような奴じゃないしな、あいつ』

 ヤマトの言葉に俺は頷いた。葉山がこれでいいと言った。俺を選んでくれた。なのに、ヤマトの言葉が真実だと思いたいのに、毎日ゆっくり押しつぶされるような感覚に襲われる。俺は葉山の普通の女の子なところが気に入っていて、好きで、でも、普通の女の子って、どういうことなんだろう。
 焦りすぎて、不安が募って、目の前の理由すらも見えなくなる。

「水城、どうしたの?」

 不意に声をかけられる。はっとして声の方を向けば、困った顔の葉山がそこにいた。ここは俺の部屋だ。小さなテーブルに参考書を広げ、二人並んで床に腰を落ち着けている。ああ、そうだ。葉山の勉強、見てやるんだった。

「わかんないとこに出くわした?」
「んー、この問題集くらいなら平気そう。水城は、……これくらいなら当然だよね」
「まあな」
 
 葉山は、俺が普段何をして、どうしているから今があるのか知っている数少ない相手だ。バスケも、勉強も、俺が人並み以上に練習だったり復習だったりしているのを知っている。だから俺は安心する。葉山の前では楽な自分でいられる。
 でも、まだ葉山だって知らないこともあるだろう。たとえば、どれだけの努力をしても俺が自信を持てないということとか。今もそうして、慎吾がいつかお前をかっさらうんじゃないかと気が気じゃないこととか。俺だって知らなかった、自分がここまで女々しくて弱くて、こんなにも独占欲強い人間だったなんて。

「……今まで怖くて聞けなかったんだけど、」

 葉山がそう切り出す。精一杯明るく振る舞おうとしているが、声のトーンは明らかに落ちていて、覇気がない。
 ちらりと俺の目を見てから、ふいと視線を逸らす。

「……やっぱり、罰ゲーム、なの?」

 ぽつりと呟かれた言葉に戦慄する。
 罰ゲーム。何が。俺とお前が付き合っていることが? 俺がお前に告白したことが?
 葉山は、しっかりしている。堂々としている。本当のことしか受け入れない。そういう奴だ。
 でも、もしかしたら、俺が思うよりずっとずっと繊細で、心無い奴らの陰口にも人一倍耳を澄まして、そして傷ついたのかもしれない。
 ちがう、と大きな声で言おうとしたのに何故か声は掠れて床に落ちた。更に葉山が続ける。

「あたしはいいの。もしこれが水城の罰ゲームなんだとしても、水城と付き合えるなんて普通の子じゃできないもん。ちょっと卑怯だけど、水城と付き合えるなら、って、あたしはそう思ってるんだよ」

 でも、と葉山は笑った。

「でも、水城はそういうの、気にしちゃうじゃない。フェアとかアンフェアとか、人一倍気にしちゃうの、わかるから。……だから、最近様子おかしかったのかなって」 

 それは俺が考えてもいなかった言葉だった。俺は、これが罰ゲームでもたらされた結果でないことを知っているから。だから、俺はその陰口については葉山に申し訳ないと思うだけで特別気にすることはない。けれど、葉山の理解する“水城 流風”があまりにも正しくて、驚いた。そのことをずっと気にしていてくれたことは、素直に嬉しいと感じる。
 俺が気にしているのは、そんなことじゃない。他の誰の陰口でも気にしないで過ごすことはできるけれど、俺にとって、この存在は大きすぎて、未知数で、だからこそ恐怖感が拭えない。
 俺は葉山が普通の女の子だから、好ましく感じる。けど、普通ってどんなんだ?

「………葉山、もし、……俺がお前に告白したあの日、俺より前に、割と一緒にいて楽しいと思える男子から告白されてたら、どうした?」

 普通の女の子だから、もしそんな状況になったら、きっと葉山は、慎吾を選んだだろうと思う。それは、葉山が“普通の女の子”だからだ。これは葉山を馬鹿にしてるのでも、俺の自惚れなんかでもなく、葉山にとって俺は、そういう意味での普通とはかけ離れたところにいる。それを俺が自覚しているから、わかることだ。

「……なんで、そんな話するの?」
「そうなってたかもしれないから。……少しでも遅れたら俺に勝ち目ないってわかってたから、先手打った。負けんの嫌いだから、そうした」

 負けたくなかった。慎吾にだけは、負けたくなかった。
 どう言葉にしたって伝わらないだろうけれど、俺にはその事実を口にすることしかできない。

「葉山がそいつと付き合ったら、って思ったら、黙ってなんていられなかったんだ」

 俺と目が合って、それからすぐ逸らされた。視線のやり場がないみたいで、軽く俯いたその顔はほんのりと赤く染まっている。俺がそうさせてる。俺の言葉で、動揺してる。それを間近で見られるのが嬉しい。

「……罰ゲームなんかじゃないよ、葉山。俺が、葉山のこと好きだから、言いたくて言った。それだけなんだから、もっと堂々としてなきゃダメだ、俺たち」

 堂々としていなきゃ、ダメだ。そうじゃなきゃ、俺はまだ不安だから。もっと自分に自信を持たなきゃダメだ。それと、もっともっと葉山に好きでいてもらえる努力をしなきゃダメだ。
 気持ちだけじゃダメなんだ、慎吾は“必ず掴む”から。慎吾はいろんなものを引き寄せる力を持ってる。そういう奴だ、って俺は知ってる。
 知ってるからこそ、俺にできることは自信持って堂々としていること。堂々と葉山を好きでいることしか、できない。
 葉山は俺の言葉にぷっと吹き出して、軽く眼鏡の下の目じりを拭った。涙のようだった。

「よもや水城大先生に好きって言ってもらえる日が来るとは。生きててよかったぁ」
「なんだよそれ。茶化してんの?」
「ちがうちがう。……嬉しいんだよ、すっごく」
「本当かねえ」
「拗ねないでよ、もう」

 葉山が軽く俺の肩を叩く。その手に触れる。驚いたらしい葉山は一瞬だけ指先をこわばらせた。軽くきゅっと握ると、すぐに緊張を解いてくれる。
 えへへ、と少し照れくさそうに笑うその表情を、俺はすごくかわいいと思うし、見ていてほっとする。俺、安心してんだな。っていうのがすぐにわかる。葉山はそういう空気を持ってる。隣にいることに、少しの違和感も覚えさせないような、そんな空気。

(――俺は、)

 葉山の額に唇を寄せて、それから、額と額を合わせる。自然と視線が合う。まだ見慣れない眼鏡の向こうの瞳が、俺を捉えているのがわかる。瞳が少し戸惑って揺れて、それから、力を抜いて瞼をゆっくりと閉じた。

(――俺は、負けないからな、慎吾)

 本当に触れるだけのキスで、この上なく満足してしまった自分に気づいた。これが優越感という奴なのかと納得した。





 日が暮れて、葉山を駅まで送り届け、歩いて自宅へ戻る途中、会いたくない奴に会ってしまった。
 校名入りのでかいスポーツバッグを肩にかけた、ごつい男子高校生。俺のよく知る男、たぶん、俺の一生のライバル。慎吾。
 慎吾はこれから駅へ向かって帰るらしく、相変わらずきっちり制服を着こんで道を歩いていた。

「あ、……流風先輩」

 いつも俺を呼んでいた時のトーンとはまるで違う声。慎吾はバッグを肩に掛け直して、俺に軽く会釈した。

「よう、今帰りか?」
「はい。生徒会ちょっと長引いて、その後部活顔出して。……先輩、は」
「……今、彼女駅まで送ったとこ」
「そう、ですか」

 慎吾は少しだけ困ったような表情をするだけで、俺がわざわざ“彼女”と言ったことに言及するつもりはないらしかった。
 本当は悔しいんじゃないのかよ。なんで、どうして、って、思ってんじゃねえのかよ。
 慎吾は何も口にしない。勝手に飲みこんで、勝手に消化して、勝手に乗り越えてしまう。そういう奴だ。

「先輩」

 慎吾が口を開く。
 慎吾の目は、いつだって真っ直ぐだ。(俺はそれが怖い)

「俺、葉山センパイのこと、好きでした」

 心が、ざわつく。
 今ここに葉山がいたら、なんて言うんだろう。どう、思うんだろう。それでも俺を選んでくれるんだろうか。
 俺はいつだって、自信がない。

「まっすぐで、頑張り屋で、すごくできるわけでもなくて、でもできないわけでもなくて、だからこそいつも一生懸命で、そういうところが可愛くて、俺、そんな葉山センパイが好きでした」

 慎吾は言う。はっきり言う。
 慎吾は、いつだって自分に自信を持っている。

「ヤマト先輩が俺に罰ゲーム言った時の流風先輩の顔、すごかったんですよ。世界の終わりみたいな表情でしたから、……そうなのかもな、とは、思ってたんですけど。先手打たれたんだな、って、その時は思いました」

 世界の終わり。そうだ、それが正しい。
 お前にだけは、先を行かれちゃいけない。そう思った。先を許したら、俺に勝ち目はないと。

「葉山センパイが流風先輩と付き合うって聞いて、諦めなきゃって思いました。悔しいけど、流風先輩が相手なら仕方ない、諦めなきゃ、諦めなきゃ、って。……でも、ダメです俺」

 予想はしていた。きっと慎吾ならこう言うだろうと。
 怖いけれど、そうやってぶつからなければ、俺たちは互いを打ち負かしたことになんてならないだろうから。

「俺、相手が流風先輩だったからって理由で諦めることだけはしたくない。俺は先輩を追っかけてここまできました。だから、ここまできたら追い越したい。俺たちがぶつかるあらゆるもので、俺が先輩と対等に張り合えるものなら、なんだって俺は勝ちたい。負けたくない!」

 慎吾だから、やっぱりそう言った。言わせたことに後悔もしている。
 俺はいつだって、自信がないんだ。だから慎吾がいつも、羨ましい。
 でも、ここで受けなきゃ男じゃないだろ。自信がなくても、自分の気持ちが本物かどうかくらい、わかる。

「――俺だって、お前に負けるわけにはいかない」

 慎吾の目を見て、言う。慎吾の目はいつだって真っ直ぐだ。俺は、そうじゃないかもしれない。分かっているからこれからは真っ直ぐであるべきなんだと、そう思う。
 誰にだって譲れないものがある。慎吾は、俺の絶対に譲れないものを脅かす。
 だから怖い。だから構えてしまう。でも、ゆずれない。どうしたって譲ってなんてやれない。
 “水城 流風”のカタチとして揃えてきた、勉強やスポーツのスキル。それだって俺は充分努力して掴んできたものだと思う。ただ、葉山は違うから。パーフェクトを形作るために必要としている存在じゃないから。
 俺が、俺の中身を保つために必要なひとだから。
 
「つーか、負けねぇし」



 負けられない。ゆずれない。負けたくない。ゆずりたくない。絶対に、負けない。ゆずらない。



「できるんなら奪ってみろよ」

 

つづかない!!!



流風VS慎吾という構図が私はすごく好きなもんで、最後の方すごく楽しかったです。
慎吾が本気を出すのってほとんど流風の前だと思うんだよね。その他では常に抑えてる子だと思ってます。
反対に、流風が一番人間らしい振る舞いをするのは慎吾の前なんじゃないかと思ってる。その他ではいつもパーフェクトを気取っているので、本当は欠陥だらけだってことを知ってるのも慎吾、でも誰よりもパーフェクトな水城流風を求めているのも慎吾、だから流風が慎吾に見せる顔っていうのはすごくたくさんの種類があるんだろうなと思ってる。
もしこいつらが本当に恋愛絡みで激突したら、スタートが同じならまず流風が負けると信じて疑わない私。だから流風に先手を打たせる。そこからでも慎吾なら逆転しそうで怖い。
あんまり口には出さないけど(先輩後輩って関係だし)、お互いにライバルとしてものすごく意識してたらいいなとか。トキヤと音也の関係にすごく近いと思う。努力型VS荒削りの天才肌、みたいな。



流風と大和じゃ面白くないのは、恋愛絡みじゃ間違いなく流風が勝つからです。流風が勝つっていうか、大和が負けるっていうか。
流風も大和も私の中では普通の子に分類されるので、うん、面白くない。大和は別に努力するわけでもないしな。
大和と風哉くんならそりゃあ風哉くんが勝つだろうし。風哉くんと慎吾のガチ対決とか見てみたい気もします。



さて次何しようかな。
おやすみなさいのキスはするのにまだ寝室が別々な新婚の都筑夫妻みたいのを書きたいと思ってた。
なんかそんな気がしてる。いろんなタイミングを逃して、家の状態はルームシェアと全然変わってない、みたいな。それを琴也と真紘に相談じゃないけどそんな話をして、琴也が「うわ、有り得ねえ……」みたいに言ってる話が見たい。琴也さんを誰か殴ってくださいおねがいします。



今日の銀魂すごかったな。
そしてさっき全キャラの秘奥義見てたがエリーゼおそろしい子……!
アルヴィンとレイアの戦闘後の掛け合いがおそろしく可愛い件。
点呼どんに期待するよう秋臼さんからメール来たので期待してます!!! よろしくお願いします!!

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2011.09.26(Mon) | パロディ | cm(0) | tb(0) |

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