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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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影すら愛おしくて もう


「お! まぁたパンの差し入れ来てんだ!!」

 顔を洗いに水道へ行き、控室に戻ってきた俺を、三人のメンバーが迎える。テーブルの上には空の紙袋と、その中に入っていたのであろうパンが八個。メンバーの数を考慮しての数なんだろう。
 この差し入れは、俺たちがバンド組んで高校で活動を始めた一番最初のライブの時からもらっている。毎回毎回同じものなので、きっと同じ人なんだろうなということは分かるけれど、手紙もなければ差出人の名前もないので、いったい誰がくれるものなのか、俺には見当がつかなかった。高校の校内でやるライブの時も、ライブハウスでやる時も絶対にもらう差し入れだから、多分、高校の関係者なんだろうなとは思うけど。しかもこのパン、俺の大好物。パンにつぶあんとマーガリンはさんだ奴。コンビニので大満足なのに、これはどうも手作りっぽい。高校ん時、「これ小豆炊いてんじゃね?」とメンバーと驚きながら食べた覚えがある。
 高校を卒業し、大学に上がり、一時休止していたバンドを再結成させた。大学構内では細々と、活動のメインを外に移して、あちこちライブハウスに出かけては歌ってきた。小さなライブは何回もやっているのに、その度差し入れは控室にあった。どんな子がこれをくれるのか、毎回想像する。女なのか、男なのかもしれない。若いのか、俺の声が死んだ子供に似てるとかいう理由かもしれない。高校の関係者から洗い出せば絞り込めるような気もするけれど、俺が高校の時からバンド活動応援してくれてた奴って割といる。その中の誰なんだろう。いろんなことを考えて、一度会ってみたいなあと思う。お礼言わないのって卑怯くさいじゃないか。毎回毎回応援してくれてんのに、俺はその人に対しては何も返せていない。
 もし女の子だったら? きっと俺はその子のことを好きになる。でも、ライブでの俺を応援してくれてるだけなら、いつもと変わらないな。ステージの上にいない俺は、多分それほどカッコよく見えないだろう。それは舞台の魔法という奴で、俺が悪いんでも、相手の目が悪いんでもない。スポットライトが眩しすぎるだけの話だ。
 パイプ椅子に腰かけて、まだ流れる汗を首にかけたタオルで拭いながら、テーブルのパンを手に取る。これだけで十分美味いこのパンは、差し入れをもらった最初は焦げてたり形がいびつだった。それがだんだん形もきれいに、焦げることもなくなっていった。もしかしてパンから手作りなのか? そんな話もした気がする。それだけの手間をかけてくれる人って、本当に、いったい誰なんだろう。
 俺がパンにかぶりつくと、メンバーは三人して俺を冷たい目で見ている。とてもクリスマスライブを成功させた後とは思えない温度だ。

「……何さ、お前ら」
「何さじゃねぇよなあ。お前、毎回コレ貰ってて礼のひとつも言ってねえの?」

 ミネラルウォーターのボトルをべこべこ鳴らしながら俺にそう言うのは、ドラムやってる大輔で、ほかの二人もその言葉にうんうんと頷いた。なんつーか、どう考えてもアウェイです。

「礼っつったって、俺これくれる人に会ったことねぇし」
「ついさっき来たばっかだよ」

 ギターの翔太がテーブルに頬杖をつく。
 
「……何、お前ら。知ってたの、誰がコレくれてんのか」
「んー、まあ俺たちは高校ん時からばったり会ってたし。どうしても琴には黙っててほしいって言われたのもあるけど、どんだけ琴が鈍感だからってさすがに気づいてんだろうと思っててあえて言わなかった」

 そう言うのはベースの達樹で、やっぱりほかの二人は頷いていた。なんだよ、こいつら三人して俺に隠し事しやがって……!
 気づいてんだろうって!? わかってねえから想像するしかなかったんだろうが! 馬鹿かこいつら!! いやここまで言われると俺も反省すべきなんだろうけど!!

「じゃ、じゃあ誰なんだよ!! 教えろよ! 今度ちゃんとお礼言わねえと、」
「「「今度じゃなくて今行けっつってんだよ!!」」」

 突然ハモりやがったので(しかも大声)、耳がきーんとする。いつも喧嘩してばっかなのにこういう時だけ団結しやがって、ちくしょう。俺だけ除け者かよ!

「白いコートで小柄な女の子。俺たちよりお前のがよく知ってんだろ」

 どくん、と一際大きく心臓が脈打った。
 認めようとして、認めたくなくて、椅子に掛けっぱなしだったジャケットを急いでTシャツの上から羽織った。

「ついさっき出てったばっかだからすぐ追っかけなよ」
「ったく、何年世話焼かせんだよお前ら」
「毎回ライブ来てんの自分が一番知ってるくせに誰がくれたかわかんねぇとかwww」
「自演乙って感じだね」

 馬鹿どものコメントは最後まで聞かずに部屋を飛び出した。
 どくどく心臓が鳴っているのがわかる。会ったらどうなるんだ俺、どうなっちゃうんだ。
 白いコート。小柄な女の子。俺と高校の時から関わりがある子。瞼を閉じるとひとりの女の子の像、それしか見えてこない。その子しか、いない。
 ライブの時、会場にいるの見えた。後ろの方、すみっこで、でも見ててくれた。だから俺、ステージからあの子だけにウインク送った。そしたら控えめに小さく手を振ってくれて、気づいてくれてよかったと思った。あの子がいつもライブ来てくれてるの、知ってるよ、知ってたよ。
 ここは駅から少し離れている。駅へ行くには、近くの公園を突っ切っていくのが一番安全だ。
 走るとぽわぽわ白い息が浮かんで消える。寄り道なんかしないだろうから、駅へ向かう。公園を突っ切る。公園の出口に白い人影を見つける。小柄な後ろ姿。息が止まりそうなくらい、自分がドキドキしているのが、わかる。柄にもなく、すげえ緊張しているらしい。

「待って!!」

 走りながらでかい声で呼び止める。小さな肩がびくりと震えて、その歩みが止まる。白いコート。小柄な姿。薄いピンクのマフラーをしっかり首に巻いて、その子はゆっくり振り返った。その顔を見て、俺はひどく納得して、落ち着いたはずなのにまたどくどくと心臓が鳴った。
 ――ああ、織夏だ。
 ゆっくり近づくと、織夏は急に慌て出して、更に先へ進もうとする。なので少し足を速めて、コートの袖を掴んだ。

「……待ってよ、織夏」

 織夏は、マフラーに顔を埋めて、小さく頷いた。




 織夏を駅まで送って、そこで別れた。
 何話したかなんて全然覚えてない。ただ、差し入れを毎回もってきてくれていたのは織夏なんだな、って、本人に確認して、織夏はやっぱり小さく頷いて、そのまま「ごめんなさい」とでも言いそうな空気だったから、何よりも先にありがとうを伝えた。織夏のおかげで頑張れた。こんなに長いこと、毎回応援してくれてる人もいるんだな、って、思えたから頑張れたんだ。
 織夏はほとんど何も言わなかった。ただ顔を赤くして、それが照れなのか寒さからなのか俺にはわからなかった。あと、「おつかれさま。ライブの時の鈴城くん、普段よりすっごく生き生きしててかっこいいなってずっと思ってたよ」って、どもりながら、一生懸命俺にそう言ってくれた。誰に言われるより、ずっと嬉しかった。

「なあ、高校ん時からさ、ずっと同じ差し入れ貰ってるって言ったじゃん」
『あー、言ってたな』
「あれ、織夏だったんだ」
『………ふうん』

 ベンチに腰かけて、俺は真紘に電話した。クリスマスイブだというのに真紘はやっぱり特に何もなかったらしく、ひとりで部屋にいるんだそうだ。
 真紘の言い方からすると、あいつも気づいてたっぽいな。ほんと、わかってなかったの俺だけなのな。

「……こんなの、俺、自惚れるって……」

 自惚れる。だって俺、織夏がこうしてずっと応援してくれてんだってわかって、すげえ嬉しかったんだ。
 中学からずっと一緒のクラスだった女の子。全然そんなタイプには見えないのに、毎年一緒にクラス委員をやった。バレンタインも毎年くれた。内気で、引っ込み思案で、俺と話すといつもどもってて、……そういうの全部、そういう意味に取っていいのかな、って思ってしまう。
 電話の向こうの真紘は、はあ、と俺に聞こえるように溜息をついた。

『自惚れるだ? ざけんなよ、そんなの俺が許さない』

 突き放すような言葉。俺はぐっと拳を握る。

「なんでだよ、だって、そういう、ことじゃないのかよ」
『違う。塩見は他意も何もなく、ただクラスメイトを応援したいだけで、パン差し入れしたのもただ優しいからだろ。お前だって塩見の性格くらい分かってんだろ、誰にだってすげえ優しいって。あいつ、俺がバレー部のピンチヒッターで試合出た時も応援来たぞ』
「……けど」
『お前が自惚れるってことは、これまでと何も変わらないってことだろ。付き合いたきゃそうすりゃいい、塩見は断らないだろうしな。けど、お前が自惚れてるなら、いつもと同じで三か月もたない』

 反論したいけどできない。真紘の言うことは、間違ってない。
 織夏は断らない。織夏は優しいから。だから、俺に対する優しさも真紘に対する優しさも全部同じで。
 ……真紘の言うことは、織夏が俺のこと好きじゃない、っていうんじゃない。俺に、ちゃんと認めろって言ってんだ。

「……俺、織夏はヒロのこと好きなんじゃねぇかなあと思ってた時期がありますた」
『お前それ、塩見に土下座しろ』
「だってさ、ヒロとは割と普通にしゃべるしさあ。妬くぞ俺」
『自惚れたり妬いたり忙しいな』

 真面目な話をしようとするとついつい意気込むので、昔の癖でヒロって呼んでしまう。まあ別に名前間違えてるわけじゃないしいいんだけどさ、でも後から考えるとちと気恥ずかしいものがある。
 
「甘えてたな、俺」
『そうだな』
「織夏なら俺がどこ行こうと一緒にいてくれるんだって甘えてた」

 織夏は無条件で俺のそばにいてくれたから、特別な関係にならなくても一緒にいられるって甘えてた。だから他の女の子とだって余裕で付き合えた。そいつらがいたっていなくたって、織夏は俺の傍にいてくれるって、思ってたから。つまり、見ないふりをしていた。その“無条件”を装うために、織夏がどれだけのことをしてくれていたのか、俺は知らない。それを見たら、知ってしまったら、絶対に織夏は俺の特別になってしまう。それに、まだ織夏が自分を変えるために俺と一緒にいる、って線も否定しきれなかった。

「クラス委員ずっと俺と一緒にやってんの、内気克服したいのかなとか、思ってたよ、ちょっとはさ」

 織夏の頑張りを、俺の自意識過剰に含めちゃいけない。そうやって穿った目で見るのは、織夏にすげえ失礼だ。
 そうも思っていたから、織夏に軽口叩くこともできた。織夏すげえ可愛い。もしかして俺と付き合いたいとか!? って、結構な発言してきた。織夏がどうとも返せないのわかってたのにさ。

『あんな面倒くせぇ仕事、面倒くせぇ相棒と六年続けてなんてできっかよ。内気直すならもっと他にもいろいろあんだろ』

 そう、そうなのだ。
 節目ごとに俺は自惚れそうになって、でもダメなんだと自分に言い聞かせて、今回の差し入れのことだった、俺は、きっと、ずっと前から気づいていたんだ。
 気づいていて蓋をした。見ないふりをした。見たら、知ったら、どうしたって俺は気づいちゃうだろ、織夏はずっと俺の特別だったって。
 初めて織夏を見た中一の春。織夏は覚えてないのかもしれないけど、入学式の朝、教室一番乗りしようとしていた俺より早く、織夏が教室の前にいた。教室にはまだ誰もいないのわかりきってるのに、誰もいない教室のドアをあける手は震えているように見えた。扉に手をかけて、大きく深呼吸して、それから凛とした瞳でがらりとドアを開けた織夏を見て、綺麗だなって思ったし、この子ほっとけねえなあ、って、思った。実際ほっとけなかった。
 急に面白くなって、俺は笑い出した。電話の向こうでヒロがぎょっとしているのがわかる。頭大丈夫か? とか聞かれる。大丈夫じゃない。大丈夫なんかじゃなかった。

「あー!!!! ダメだ俺! 織夏のことちょー好きだわ!! 何コレ、なんで俺今まで何もしてこなかったんだろう!」

 見ないように蓋をした。気になって蓋にちょっと触れたら、吹き零れた。
 なんで俺他の女と付き合えたんだろう、なんだよ、俺、自分がこんなに織夏のことばっかり考えてるって、思ってなかった。
 自惚れる要素なんかなくたっていい。だって、俺自身が織夏のことこんだけ好きなんだって、痛いくらいわかってしまった。

「ごめんなあヒロ、俺先にリア充になるわ!」
『玉砕という可能性は考えてないのか。おめでたいなあ』
「ないな! なぜなら俺は、」

 わかるだろ、今の俺はすげえんだ、星とったマリオみたいな感じなんだ。超強いんだ、無敵なんだ!

「俺は、ちょーカッコイイからです!!!」







琴也と真紘の、親戚っていうよりも親友、っていう感じが好きです。
親友なんだけど、血縁でもあるからより深い感じ。椿とみのりも似たような関係だけど、でもなんか違うかなあ。
特に琴也→真紘の依存度っていうかよっかかり度はかなり高いと思う。
真紘からはそこまでじゃないんだけどな。なんでだろう。なんかあったのかな。
真紘は織夏に恋愛感情はないけど、可愛いなあとは常々思ってたらいい。
琴也のことを好きな織夏を見るのが好き。伝わってないよ可愛いなあ、とか思ってそう。


織夏は付き合ってもなかなか琴也のこと名前で呼べなくて、練習するんだけどやっぱり「鈴城くん」ってなっちゃって、琴也がもやもやしている。もう琴也は「ぜってー織夏と結婚する!」とか幼稚園児みたいなこと言い出してるので、真紘はリア充うぜえなあとか思いつつ、「琴と付き合ってくなら俺のことも名前で呼べた方がいいだろ、琴の家とうちって付き合い長いし、うち全員桜井さんだし」とか言い出す。
お約束ですが織夏は真紘ならすんなり「真紘くん」って呼べそうな気がするんだ。かなり照れはするだろうが。
そいで荒ぶる琴也。それ見て慌てる織夏。そんな二人を見てほっこりする真紘、という三人組が好きです。


自分のところのキャラだけど、織夏は何故かよその子みたいな愛着があります。
琴也と織夏は末永く爆発しろと思ってます。琴也と織夏は名前があまりにも夏の夜空すぎて子供にどんな名前つけるのか気になります。DQNネームだけはやめてやってくれ。織夏とかつくった私が言うのもなんだが。


鎌倉いきたい! ことりっぷ買おうかな!

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2011.10.05(Wed) | Title | cm(0) | tb(0) |

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