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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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ユリ高ちょっとだけ書いてみた。


「いってきまあすッ!!」

 店の入り口のガラス戸を音を立てて開き、後ろ手で閉めるとがしゃんと大きな音がした。そんなことには構っていられない午前八時十五分。ここから校門まで、飛ばして十分切れるかどうか。自分との戦いってヤツだ。俺は毎朝欠かさず自分と決闘している!
 マリンブルーの車体のマウンテンバイク、そのスタンドを蹴り上げて、跨る。そのまま漕ぎ出す。一漕ぎで一メートルでも先へ進めるよう、ギアは重くしている。ギアの重さがまた、戦いの苦しさを物語る。腿にかかる負担は半端じゃない。とにかく海風を横に受けながら、前へ、前へ。
 このマウンテンバイクは父ちゃんに中学卒業祝い兼高校入学祝いとしてもらったもの。うちで扱ってるバイクの中でもいっとー高いヤツで、ずっと欲しい欲しいって言い続けてたらくれた。もらってから一年ちょい、もうすっかりこいつは俺の愛車として馴染んでしまった。メンテも欠かさない! おかげでいつもフルパワーで稼働してくれる心強い相棒だ。相棒には名前がある。今は家を出て、一人暮らししながら大学に通ってる兄ちゃんがつけてくれた。その名も『マーレ号』。兄ちゃんいわく、マーレってのはどこだかの国の言葉で海って意味なんだそうだ。マリンブルーのこいつには、そんな名前がすげえ似合いだと思う。だから俺も気に入ってる。
 俺はこの百合ヶ浜にある自転車屋、名前はまんま『園田サイクル』。そこの次男坊、園田 漣だ。ちなみに兄ちゃんの名前は征洋。海沿いで生まれた男、って感じがすんだろ? 俺は自分の名前も結構気に入ってる。ま、性格はこの通り、ギリギリでいつも生きていたいって感じだ。そんなことより、今は急がねえと遅刻になる!
 
「お?」

 三分ほどマーレを漕いだ先、ひとりの男子学生の後姿が見えた。この時間なのに悠々と歩いてる奴なんて、俺はひとりぐらいしか知らない。
 余裕はないが、そいつがあまりにも余裕こいてるから少しだけスピードを落とす。

「うっす、ゆき! はよー」
「おう、早いな漣」

 学生服をぴしっと着こなし、見るからに理知的な雰囲気を醸し出しているくせに、予鈴五分前ほどのこの時間に余裕で歩ける男、それは俺の親友である風間 幸晴以外にいない。
 とんでもないのはこいつがうちの学校の生徒会副会長なところだ。何があって当選できたんだか俺にも不思議で仕方ない。

「早いもんかよ。前々から思ってたんだけどさあ、生徒会役員になると遅刻OKってルールあったりすんの? なら俺今すぐにでも役員なりたいんだけど。チャリ直すくらいしかできねえけどさあ」

 ゆきを見ているといつもそう思う。何ゆえこいつはこんなに余裕こいて遅刻できるのだろう。……まあ、ゆきの場合遅刻しても俺と違って成績で挽回できっからもーまんたいなのかもしんないけど。

「漣」

 ゆきは俺の名を呼んで立ち止まった。急がないとヤバいけど、止まられたら俺も止まらざるを得ない。なんだよ、と言いつつブレーキを掛ける。

「そんな規則あるはずがあるまい。この時間にこのペースでは俺もお前も平等に遅刻だ。しかしこの状況で俺を残し自分だけ門をくぐるのは忍びないだろう、漣」
「それ自分で言っていい台詞なのか……?」
「気にするな。さあ漣、早く俺をマーレに乗せて急げ」
「わざわざ立ち止まってする話じゃねぇだろコレ!! わかったよ、わかったから早く乗れ!!」

 にっと笑ってゆきが後ろに立ち乗りになる。俺のマーレはこんなことでひしゃげたりしない。すこしバランスは崩れるし、スピードもさっきよりちょっとは落ちるが、ここまで結構飛ばしたからきっと大丈夫だろう。何よりも、毎朝毎朝これをやってるんだから慣れっこだ。ゆきを後ろに乗せての全速力。俺のマーレはそれでも速い。
 ゆきは、うちの自転車屋よりもう少し離れたところにあるでっかい老舗旅館の一人息子にして跡継ぎ。それはそれはでっかい旅館で、数年前には古い建物の隣に新館を建てた。たまーに泊まらせてもらうが、旧館は旧館で老舗の趣ってのがあるし、新館は新館で高いところから百合ヶ浜の海の一望できて、すっげー気分がいい。海を見ながらの露天なんてのは格別だ。ゆき自身は独特な性格してるけど、付き合いも長いし俺はもうそんなの気にしない。成績とか俺よりずっといいけど気が合う奴って珍しいしな。
 俺たちの通う学校、私立百合ヶ浜高等学校。朝は八時二十五分の予鈴で、日替わりで先生が校門を閉める。それまでに間に合えばセーフだ。勝敗は毎回四対一くらいの比率でセーフ。遅刻がかさむと作文やらされたりするから、急ぎたいところだ。

「そうだ、聞け漣。朗報だ」
「なんだよ朗報って」
「今日の閉門担当は渡会教諭だ。安心していい」
「お!? マジで!? ほっちゃんなら多分“しゃーねーなあ”で許してくれるよな!」

 閉門担当の先生は毎日違う。それが緩い先生ならラッキーだし、厳しい先生だとその場で説教タイムになったりする。今日はとびきり緩い先生らしいということがわかった。ちょっとだけ肩の荷が下りたので、少しだけスピードを落とした。だんだんと校門が近づく。

「…………なあ、ゆき」

 校門が近づくにつれて、俺の目にも、そしておそらくゆきの目にも異変が映りこむ。
 
「……ああ、マズいな」
「お前っ、同じ生徒会役員の動きくらい把握しとけよなあ! しかも幼馴染だろ林葉とは!!」
「煩い! アレの行動すべてを理解できるわけなかろうが!!」

 校門には普段、閉門担当の先生がひとりだけ立っているはずなのだが、――今はなぜか、二人の影がみえる。
 一人はゆきが言った通りの渡会教諭、フルネームは渡会 穂積。まだ二十代の、チャラくてアホな政経の先生だ。
 その隣に、明らかに怒りのオーラを放っている女子生徒。多分、それは、生徒会書記にして、この百合ヶ浜のもうひとつの老舗旅館、林葉旅館の一人娘、そしてゆきの幼馴染である、林葉 晴佳。

「風間あああっ、何回も言ったわよね私!! 今日から! 一週間! 遅刻撲滅キャンペーンやるから! 風紀委員と! 閉門まで一緒にやるって!!」
「ああ、そうだったな」

 しれっと言いながらゆきは自転車を降りる。俺は腕時計を確認する。一応、閉門までに間に合っては、いるのだが。

「今日は誰の担当だったかしら!?」
「会長殿ではなかったか?」
「アンタでしょアンタ!!!! 先週耳にタコできるほど言ったでしょうが!! 昨日の夜も電話したはずだけど!?」
「すまん、失念していた」
「アンタは何だったら覚えていられるのよ!! ばーか! ばーか!!」
「まあそう怒るな林葉よ。冷静になれ。馬鹿と言った方が馬鹿なのだぞ」
「うるさいわよ! アンタその反論小学生レベルじゃない!」

 普段は凛として品行方正、部活は弓道部で成績もよく――と言われる生徒会書記の林葉 晴佳さんは、ゆき相手となるとこうなる。口汚いというか、ガキっぽいというか。幼馴染だしこんなもんだろう。俺なんかは慣れてるから普通に見てるけど、林葉のことを慕う後輩の子とかがこの姿を見かけると大いに幻滅するとかしないとか。
 とかなんとか言っているうちに、予鈴が鳴る。この時点で校門の中に入れていなければ遅刻なのだ。無論俺たちは校門前で足止めを食らっているため、中には入れていない。一通りゆきと口論を終えた林葉は、今日最初のイイ笑顔を作り、俺たちに有罪判決を下す。

「と、ゆーことで。ご愁傷サマ」
「ひっでー!! 横暴だろコレは!」
「シャラップ! 自転車の二人乗りだってダメだって再三注意したのに聞かないからよ! 大人しく昼休み返上して指導室行きなさい!」
「む、乗れと言ったのは漣だからこの場合俺に非はないはずだが」
「アンタは歩いてたらそもそもこの時間間に合ってないでしょうが!!」

 我らが書記さんは冷酷非情にして無情である。
 なので、俺は懇願の対象を隣の先生に向けることにした。

「ほっちゃーん、大目に見てよー! 頼むっ、この通りッ!」

 手を合わせて、すり合わせて、頭を下げる。
 ゆきはこの性格なので何にも動じていない。もうちょっと焦ってもいいと思うんだけど……。 
 ほっちゃんは、うーんと唸ってから、横目でちらりと林葉を盗み見る。

「穂積せんせーい? 先生なんですから甘い判断なさらないでくださいね?」
「と、いうことだ! 悪いなれんちゃんゆきちゃん! はるちゃんがこう言うんで、許せ!」
「だああああああッ、教師が生徒に操られてていいんスか!? そんなんで教師のイゲンは大丈夫なんですか!!」

 ほっちゃんの決断に満足したのか、林葉は先に踵を返して校舎へと歩き出す。紺色のセーラーがぴらぴらと揺れている。
 林葉がこっちを見ていないことを確認してから、ほっちゃんは俺たちに顔を寄せた。

「俺も今日担当だってすっかり忘れてて、来たのついさっきでさあ。はるちゃんが大目に見てくれたからよかったんだけど」
「ちょ、何それずるいじゃないっスか!!!!」
「何を言う! 遅刻はしてないぞ!」
「してますよ! してるっていうんですよソレは!!」

 自分は大目に見てもらったくせに生徒には厳しいとは、本当に教師ってずるい生き物だ。
 ……とか言ってても仕方がない。遅刻は確定してしまったわけだし。

「漣、早く自転車を置いてこないと本鈴にも間に合わんぞ」
「え? あ、うん、マッハで行ってくる」
「そうしろ。俺は先に行く」

 さっきあんだけ余裕かましてたゆきはちょっと気難しそうな顔をして、校舎へ向かった。俺は生徒用の自転車置き場までマーレを走らせる。
 ――もうすぐで、チャイムが鳴る。






漣が割といろんな方向に動けるキャラっぽい。馬鹿だし。
幸晴は日常の笹原先輩と、DCの杉山みたいな感じ、と思ってます。ヤギに乗って登校とかはしてません。
ああいう感じだけど、晴佳のことは昔から人一倍気にかけてて、晴佳のいないところで林葉旅館の悪口言ってる奴には容赦ないとかだったらいい。だからあんまり穂積好きじゃないとかだったらいい。
晴佳はほっちゃんにはめちゃめちゃ甘い。ほっちゃんもやはり馬鹿。

ユリ高は現実的な馬鹿ばっかで楽しいです。
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2012.03.28(Wed) | ユリ高 | cm(0) | tb(0) |

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