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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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きづき  5


 文化祭二日目、午後。俺はクラス出し物の衣装である袴姿のまま、ホールの一番上の隅の席に陣取って、ひとりでパンフレットを眺めていた。
 一時まであと五分ほど。合唱部の発表を聞きにきた奴らは、お世辞にも多いとは言わないがゼロではない。広いホールにはちらほらと生徒や保護者の姿が見える。そいつらは大体前の列に座っていて、こんな一番後ろに座っているのなんて俺くらいなもんだ。もっとギリギリになれば人も入るのかもしれない。運動部に比べると文化部の活動ってのは地味に見える。パンフレットを見る限り、大会やなんかで割と成績は残しているらしい。それでも学内ではマイナーな存在なのだろう、認知度の低さがうかがえる。
 舞台袖からはちらちらと合唱部の奴らが客席を覗いていた。客の入りが気になるのだろう。そんな気にしたってそう増えたりしねえよ、と思いながらまたパンフレットに目を落とす。曲目は全部で八曲。オープニング、一年部員、二年部員、三年部員、女子のみ、男子のみ、部内選抜、エンディング。一時間ホールを貸し切っているのだから、まあそんなもんだろう。このパンフレットを見て初めて気づいたが、葉山は部内選抜のメンバーに入っているらしい。選抜メンバーと言っても四名しかいない。男女混合で、全部で四名。つまり、部内のパート代表ということだろう。
 ここまで考えて、ブザーが鳴った。ナレーションが入り、客席の照明が落とされる。舞台がライトで輝く。ぞろぞろと出てくる合唱部員は男子も女子も白いベレー帽に白いケープを身に纏っている。これが文化祭での恒例らしい。部員たちは舞台いっぱいに三列に並ぶ。どうやら手前から一年、二年、三年という順らしい。三年の列には知った顔がいくつかあった。

(………ん?)

 一番知ってなきゃならん顔がない。葉山は女子の割に背が高いから、いればすぐ見つけられると思ったのだが、何度目を凝らしてもそれらしい顔は見当たらない。
 昨日のメイクのこともあるし、もしかしたら髪型も変えているのかもしれないとも思ったが、そうでもなさそうだ。となると、部員数はもっといて、これはオープニングのメンバーってことか。
 となると聞く意味もあまりないので、気を緩めた。三年部員の曲の時には出てくるだろう。それまでは気を抜いていいということなので、頭の中で後夜祭の曲を思い出す。流風ほどではないが、多少は練習した。あとは伊賀奇の体力の問題だが、流風のことだからきっとどうにかしただろう。空先生はピアノ元々できる人だし、うちの担任はあれで何でもこなすから心配はないだろうし。あれ、俺が一番不安材料じゃね? いやいや、俺だってやりゃできるだろ。実際それなりにやったんだし、それなりには。
 そんなことを考えていると、時間は驚くほど速く過ぎて、あっという間に三年部員の演目になった。今年最後の文化祭だから、あいつもそりゃあ気合いを入れていた。ぞろぞろと舞台に現れる三年の部員たち。そいつらを目で追い、おかしいと気づく。まだ葉山がいない。そんなことがあるだろうか。三年部員全員での演目なのに、あれだけ張り切ってた葉山がいないなんて。おかしいおかしいと思っていても曲は始まってしまって、そして数分で終わる。次の演目である女声合唱の曲にも葉山の姿はなかった。
 今日は登校はしていたはずだ。朝の準備の時にすれ違って、「今日の売り上げは絶対A組抜くからね!!」と豪語していたからよく覚えている。なら、途中で体調不良とか? でも、あれだけ張り切っていたのだから、あいつなら多少の熱を出しても舞台に立っただろう。怪我か? いや、そんな噂は全然流れていない。葉山がこの舞台を欠席しなければならないような事故が起きていれば、もっと噂が流れるはずだし、それが俺がこのホールに入ってからのことだったとしたなら、流風なり風哉なり、知り合いから何らかの連絡があったっておかしくない。それならば、何が。
 なんで俺が焦ってんだ。意味わかんねえ。落ち着くために息をつくと、男子部員の合唱が始まった。そこでホールの一番後ろの扉――俺のいる席のすぐ近くの扉が開いた。入ってきたのは数人の女生徒で、全員メイド服を身に纏っていた。

(C組の女子か?)

 見知った顔もあったので、それがC組の連中だということがわかる。葉山がここに来れないなら、それを一番知ってるのはC組の奴らなんじゃないのか? メイド服の女子たちは俺の席の少し前に座っている、他のクラスの女子と合流して席に着く。上演中なので声は控えているが、他のクラスの奴に状況を説明しているらしく、ほんの少し耳に入ってきた。

「男子がごっそりバックレちゃって、他の子もちょうどダンス部の発表とかあって抜けちゃってさ、ルミちゃんクラスから出られなくって」
「え、マジで? ルミちゃん可哀想……」
「空先生は行っていいって言ってくれてたんだけど、正直ルミちゃん抜けるとホール誰もいなくなるからキツくって。今さっき交代来たから急いで来たの」
「じゃあ選抜には出られるんだ。よかった、いやよくないけど」

 クラスの出し物?
 そんなもんのために、三年間の成果を無為にするつもりだったのか?
 俺には少しも理解できなくて、そいつらを睨むように見ていることしかできない。
 男子の合唱は程なくして終わり、すぐにまた次の演目に進む。次は、例の選抜メンバーの曲だ。袖から出てきたのは、まず男子がふたり。それから、女子がひとり、少し遅れて、葉山が現れた。おそらく走ってここまで来て、急いで着替えたのだろう。肩で息をしているように見える。全員同じ白の衣装に、葉山の緩く波打つ茶色い髪がよく映える。
 ピアノの音がホールに響いて、四人だけの歌が始まった。

「――――」

 正直、息が詰まった。葉山のこんな真剣な表情をこれまで見たことがなかったし、真剣そうなのに楽しそうな表情に目を奪われた。四人とも部内の各パートで一番上手い奴なんだというのはよくわかるが、それでもやはり、葉山の声はダイレクトに響いて聞こえた。さっきまで肩で息してた奴とは思えないほどの声量、さっきまでの曲がすっかり霞んでしまうほどの存在感。葉山はアルトのパートらしく、メインのメロディーではないけれど葉山の声が曲自体に深みを与えているのがよくわかる。曲自体を支えるように聞こえる歌声が耳に心地よく馴染む。これを、葉山はずっと練習していたのだろう。忙しい合間を縫って、クラスの出し物とも両立させて。今回だけじゃなく今までずっとだ。勉強と、バイトと、部活と、いろんなことにこいつは、一生懸命取り組んできたんだろう。この場に流風を連れてこなかったことを、俺は少しだけ、後悔した。下手な嫉妬に駆られたことを後悔した。葉山はきっと、流風にだからこそ聞かせたかったに違いないのに。流風に会うまで、全部には全力投球できなかった葉山を確かに変えたのは流風なのだ。
 綺麗な声がホールに響く。曲が終わった後の拍手はそれまでで一番大きなものだった。四人は一緒に頭を下げて、一度袖に下がる。葉山は胸に手を当てて深呼吸していたようで、袖に引っ込む寸前、一瞬目が合った気がした。本当は全部に出られなくて悔しかったはずなのに、葉山はにこりとやわらかい笑みをこちらに向けて、小さく手を振った。
 結局葉山が歌ったのは選抜の合唱と、エンディングの二曲。葉山が満足そうに笑うから、だからこそ俺は、「出られただけでもよかった」なんて葉山に思わせたのであろうそいつらを、許すことなんて絶対に、できない。





 合唱部の発表が終わってすぐ、俺はホールを離れた。葉山と顔を合わせる気になれなかった。流風を連れて行かなかった後ろめたさもあったし、あれだけ存在感のある歌声を聴いた後だから、いつものような軽口はきけそうになかったというのもある。
 後夜祭の準備が始まる時間までどうにか時間を潰そうと、屋上に向かう。クラスの片づけはクラスの奴らがやってくれるだろう。あれで割とやる時はやってくれる奴らだ。クラスの片づけ云々よりも、後夜祭に担任が出るなら最前列で応援! と余計なことに息巻いているのではないだろうか。
 重い鉄扉を押し開けると、隅の方で数人の男子が固まっているのがわかった。俺はすぐ反対の隅に向かったのだが、そいつらは扉が開いたことに驚いたようで、「やべえ!」と声をあげて一斉にこちらを見たようだった。ちらりと窺うと知った顔があったから、それが三年の集まりだということがすぐにわかる。そいつらは、「生徒でよかったー」「だから鍵どうにかしろっつったろ」「どうにかってどうだよ」とかごちゃごちゃしゃべりながら中央に置いた缶の中に何か捨てている。どうせ吸殻だ。教師も全員を監視はできないから、イベントごとの時に目を盗んでこういうことする奴はたまにいる。それは仕方ないことだと思う。

「チクられたらやべえからもう戻るか?」
「別に見られてねーだろ?」
「つーか戻っても葉山うっせえだけだろ」
「あー、あいつなあ」
「気が付くと委員長ヅラしてっから腹立つよなあ」
「悔しかったら可愛く生まれ変わって出直してこいって感じだな」
「昨日のあいつ見た? 頑張ってもしょうがねえくせにメイクしてやんの」
「うわマジで? 全然気づかんかった。メイクとか無駄すぎる」
「あいつ最近A組の水城とか芹沢と仲良いから何か勘違いしてんじゃねえの?」

 頭の中でばちんと音がするのに時間はかからなかった。拳の疼きにセーブをかけるのも、やめた。躊躇う理由を探すことも、やめた。俺は、俺がやりたいようにする。
 流風なんてどうだっていいだろ。流風がいるから何なんだよ、俺は俺が、やりたいようにする。数日前のあの時の流風の質問に、今なら俺は断言できる。あんな茶を濁したような返事はしない。


『……葉山のこと好きなんだろ、ヤマト』

 
 ああそうだ、そうだよ、悪いか。最近あの女のことしか考えてねえよ、だから何だ。ご存知の通り俺はあの女に惚れてるよ!!
 ぎり、と歯を食いしばって、頭の中でその質問に大声で答えるのと、くだらない話をしていたそいつらのうちの一人を渾身の力で殴るのはほとんど同時だった。
 そこからは、時間の感覚はほとんどない。相手は何で自分が殴られてんのかわかってないみたいだったが、俺の噂は知っていたようで、誰かが「芹沢だ!!」と叫んでいたような気がする。負ける気は少しもなかった。右手の皮がめくれても、そいつらの顔がボコボコになっても俺はやめなかった。相手の血やら涙やら鼻水やらが皮のめくれた部分に沁みて痛みもあったけれど、どうだってよかった。殴って、殴って、蹴って、踏んで、相手の反応がなくなっても俺はやめられなかった。
 鉄扉が開いたのには気づいていた。反応のない相手をまだ殴ろうとしているところを、俺は空先生と安藤先生に取り押さえられた。その後ろには、またメイド服に着替えた葉山の姿が見えた。

「大和!! 何やってんだよお前は!!!」
「……うっさいっスよ先生。そいつら神聖な学び舎の屋上で煙草吸ってたんで、シバいてやったんです」
「お前、……だからってやっていいことと悪いことがあんだろ。やりすぎだろこれは!! 死んだらどうするつもりだったんだよ!!」
「え、死んでないんスか。殺すつもりで殴ったんスけど」

 葉山の後ろにはもう一人いた。どうやらひとり逃げ延びて助けを呼びに行っていたらしい。そんなことにまで頭回ってなかった。取りあえず手ぇ痛い。
 葉山はメイド服姿のまま、小刻みにかたかた震えていた。可愛いと思った。俺にどんな言葉をかけたらいいのかわからない様子で、俺の様子をちらちら窺っては言葉をさがしているように見えた。
 空先生が倒れてる奴らの安否を確認して、どうやら全員失神してるだけだったらしい。俺は安藤先生に強い力で引っ張られ、屋上を後にした。





たまに大和とルミを書きたくなります。
久々にくっつくまでの話。


振り切れたらもう自重する気はない。でもこの時簡単に気持ちを振り切っちゃったことで、付き合い始めてからうだうだ悩むことになる。大和は気づいてないけど、結構これでルミは救われてるはずなので、結婚云々の時に踏み込んで大和を救ってやるのがルミだったとしてもそれはそれで帳尻合ってるかも、とも思う。
ルミは普通の子だけど、流風をよく見ていて流風に憧れているので、結構なんでも頑張っちゃう。
頑張り屋で好奇心旺盛で軽口も叩きやすい子が身近でうろちょろしてたら、大和も割と普通の男子高校生だからころっと好きになっちゃいますよね。同じ理論が誰相手にもいえると思う。
紗央とか奈央みたいな特殊なタイプと違ってルミは普通だから誰にでも合わせられる。瑶子さんですか? 瑶子さんは瑶子さん自身のストライクゾーンが広いだけじゃないですか。※ただしイケメンに限る


リベリオンの設定まとめてたら大変な時間になったwwww
点呼どんぜひキノの話書いてー! 設定見てたら私ヒロとミズキちゃんの話書きたくなったwwww
あと飛行機乗りたくて旅行いろいろ考えてたwww

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2012.06.27(Wed) | きづき/ゆらぎ | cm(0) | tb(0) |

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