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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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ひかり射す方へ



 俺は右側。奈央が真ん中。理央が左側。
 なんとなく、そんなイメージ。
 実際にそうやって手を繋いだことはないけれど、三人並んで歩く時はいつだってそうだった。
 実は俺と奈央は、二人で手を繋いだことはそんなにない。急がなきゃ電車が出ちまう! とか、渡ってる途中の信号がチカチカし始めたとか、そういう時だけ奈央の手を引くことはあった。俺が遠慮しているのもあったり、奈央から求められることもなかった。
 けどさ、聞いてくれよ。俺たちそれでも付き合ってたんだ。俺だけの勘違いとかじゃなくて、奈央だって「付き合ってる」って言うと思う。高三の夏、俺から奈央に告白した。奈央の性格はああだから、ダメだったらもうまともに顔合わせて話せなくなるかもしれないってわかってた。背水の陣だった。家族ごっこから脱却したくて踏み出した一歩。人生で一番緊張した瞬間だった。初めて会ったのは中学の時、プールサイドで。告白したのは高校のプールだった。俺と奈央しかいない、夕暮れのプール。奈央の驚いた顔、今でもはっきり思い出せる。すぐに返事貰えるなんて思ってなかったし恥ずかしいしですぐにその場を去ろうとした俺に、奈央が掛けてくれた言葉。

『あたしも、瀬川くんが、すきだよ』

 あの時舞い上がった自分の頭が憎いが、でも、そんなん当たり前だろ。好きな子に告白して、「あたしも好き」って返事貰ったら普通舞い上がるだろ。俺にとっちゃそこからが盛大なピエロ生活の幕開けだったわけだ。晴れて付き合い始めても、これまでと何も変わらない。理央も交えて一緒に登校して、帰れる時は一緒に帰って。夏休みは三人で遊んで。受験に向けての勉強も三人で。理央のことを邪険にしたいわけではないし、一番の親友だと思ってるからその生活に不満があったわけではない。多少空気を読んで席を外してくれようとしている理央を引き留めるのが奈央なのだから、手に負えなかった。『瀬川くん』という呼び方だけは矯正させたけど、それだって慣れるまでに二か月近くかかった。
 進学先も、ちょっとは迷った。奈央が地元の看護学校に進学するというから、俺も地元に残ろうかとギリギリまで悩んで、やめた。このままだと、きっと何も変わらないと思ったからだ。今一緒にいる時間が長すぎて俺のことを家族としか思えないのなら、少し離れて暮らしてみたら恋しくも思ってくれるかもしれない。奈央は浮気なんかしないし、俺だってするつもりはない。コイビトという肩書が奈央を守ってくれる。縛り付けてくれる。高校生にしてはすげえ考えを思いついたと思う。
 蓋を開けてみりゃ、期待したような展開にはなっていなかった。離れていても奈央にとって俺はコイビトという肩書を持つ家族だった。奈央というひとりの女の子から「空君がいなくて寂しい」という言葉を聞ければ俺はそれで満足なのに、そんな言葉は聞けない。代わって言われるのは、「あたしも理央も寂しいよ」と言う言葉。ちがうよ奈央、それじゃ意味ないんだ。俺が欲しいのは、双子の言葉じゃなくて、奈央の言葉なんだ。理央も寂しさを感じているなら、それはそれで構わないし、俺もなんでも話せる友達と離れて寂しいという気持ちはある。けどさ、俺はそれも承知でこっち来てるんだ。奈央の言葉じゃなきゃ、奈央だけの言葉じゃなきゃ、俺っていうちっぽけな男のジソンシンは満たせないんだよ。
 遠距離恋愛生活二年目の夏休み。誕生日は実家で迎え、双子に祝ってもらった。あんまりにも奈央が変わらなすぎて、理央が空気読めば読むほど俺が居たたまれなくなって、その辺で俺は結構もう男としてボロボロ。しんどくなって、戻ってすぐに自棄酒して、慣れないのに量飲んだもんだから途中でぶっ倒れて、そんな俺をたまたま拾ったのが勤務終了して家に帰ろうとしていた紗央だった。
 紗央は俺を自分のアパートまで連れて行って、玄関で手荒く介抱してくれた。ちなみにそん時は一切面識なかった。奈央から、黒髪で目の青い綺麗な人、ということと名前しか聞いていなかったし。紗央も紗央で奈央から俺の名前やなんかは聞いたことがあったらしく、自己紹介してから一気に愚痴大会。紗央は「奈央ならやりかねない」というスタンスで聞いてくれる普通の女子だから、助かった。何気に紗央は、俺のこと一番理解しているかもしれない。代わりに紗央の愚痴とかも俺は聞くようになって。それでもお互い好みではないから仲がどうなるというわけでもなかった。そんだけ傷ついても、俺は奈央ばっか好きだった。
 双子がこっちに越してきたのは社会人二年目のことだった。理央はツキ高で講師やるし、奈央は近くのクリニックで看護婦さんしてる。また俺たちに昔通りの生活を送れと、神様は言いやがったのだ。付き合ってる男女なのに、昔と同じ生活をしろと。
 前述のとおり、手はほとんど繋がない。奈央はあんなに抱きしめがいありそうなオーラ出してるのに、なんとなく憚られるのはきっと俺が男として意識されてないから。キス、は触れるだけ。それ以上のことも、大学の頃俺が我慢できなくて一応一通りは済ませてるけど、でも、奈央が望まないならしちゃいけないと思ってる、今は。俺の部屋に泊まることもたまーにあるけど、絶対別々に寝るし。ていうか奈央が言いださなくても俺が自主的にそうする。いろいろ紳士ぶってるけど、大好きな子が傍にいて一緒に寝てられるほど自分の理性に自信を持ってるわけではないし。
 いっそ嫌われればいい。奈央が新しい恋を見つければいい。それなら仕方ないと俺も諦められたかもしれない。それが簡単に叶うような相手なら、俺もこれほど惚れ込んでなかっただろうってことも、わかっちゃいたけど。生殺しに慣れすぎていた。こんなことなら女に生まれて、大親友にでもなればよかったのかもしれないとさえ、思うほどに。それでも俺は奈央を嫌いになれない。大好きだ。愛してる。奈央が家族としてしか俺を見られなくても、俺は、何年も何年も、気が狂いそうなほど、奈央に恋をしている――。






(――あ、れ……?)

 見えるのはいつもの天井。ここは俺の部屋。頭の中は靄がかかったようになっていて、体は酷く重い。全身は熱を持ったように熱くて、呼吸も浅く速くしかできない。
 ――そういえば。
 朝から調子悪くて、土曜だったし授業終わってすぐ帰ってきたんだっけか。そうだそうだ、そうだった。もうどうやって帰ってきたのかもよく覚えてないけど、ここにいるんだからそういうことなんだろう。夏休み中ずっと仕事ばっかで、夏期講習だ受験生の面倒だなんだってやってた。夏休み終わる直前あたりからちょっとずつ風邪っぽくなって、それがどうも爆発したらしい。
 それにしても嫌な夢を見た。俺の半生のダイジェスト。思い出したくもないダークサイド。想っても想っても、愛しても愛しても、どうしても届かない苦しさ。思い出すだけで胸がぐっと詰まる。こうして熱が出た時も、今まではひとりでどうにかしてきた。奈央はいつも理央を優先していたから、俺のことなんて省みてくれなくて、ちゃんと薬飲んであったかくして寝てれば大丈夫だよ、ってそれだけ。ああ、今寝てるって奈央に連絡した方がいいかな、どうしようか。
 去年、ちょっと俺が大けがした時にすったもんだあって、今では奈央とちゃんとコイビトとして生活してる。あんま自分のストッパーに自信ないし、ガツガツしすぎるのもな、と思って結構穏やかな生活。奈央が俺のこと、俺のことだけ考えてくれるっていう幸せを噛みしめてるとこ。一度ベッドの上で寝返りを打つ。あ、やべえ、帰ってすぐ寝たってことは俺、着替えてないんじゃ。

(――?)

 袖を見ると、いつもの寝間着だ。額に手を当てると冷却シートが貼ってある。ここまでした覚えは、さすがにない。驚いていたのもあるが、耳を澄ませると、キッチンから音がする。誰かいる。誰かなんて、決まってるんだけど。俺の部屋にこうして入れるのは、ひとりしかいない。

「……な、お……?」

 寝起きで掠れた声でその名を呼ぶ。キッチンの音はすぐに止んで、代わりにぱたぱたと駆けてくるスリッパの音。
 顔を出したのはやっぱり奈央だった。ワンピースの上にエプロンをしている。奈央はベッドの傍に膝をつく。そこまではすごく心配そうな顔をしていたくせに、途端に表情が淡々としたものに転じる。あれ、これは予想外だ。

「気が付いたんだね。よかった」
「ん、ごめんな。わざわざ来てもらって」
「ううん、いいの」

 ちゃんと恋人同士として生活し始めたら、奈央はちゃんと女の子だった。俺のことすごく心配してくれるし、新作の料理作るんでも俺に一番に意見求めてくれるし。いつもの奈央だったら「ほんとに心配したんだよ!! でもよかった、ちゃんと気が付いて」って、ちょっと目を潤ませながら言ってくれる気がする。
 変な夢を見たからか、不安ばっか膨らむ。あれだけの会話で奈央はさっさとベッドから離れていく。これは昔に比べたってつっけんどんだろ。ここで放っておくのは男じゃない。重い体を起こして立ち上がり、出て行こうとする奈央の手首を後ろから掴む。華奢な体が驚きでびくりと震えた。

「だ、ダメだよ空君、ちゃんと寝てなきゃ」
「奈央がそんななのに、寝てらんねえよ」
「まだ熱高いんだから、寝てなきゃ!」

 振り返って俺を見るその目は、心配でしょうがないですって色をしているのに。なんでわざわざ冷たくしようとしているのかわからないけど、気持ちを隠しきれてない奈央は純粋に可愛いと思う。

「なんで冷たいの? 俺、なんかした?」

 どうやら俺のこの言葉がNGワードだったらしく、奈央はきっと厳しい表情をして、俺に詰め寄った。あまりの剣幕に気圧されて後ずさりすると自然と元いたベッドに腰を落としてしまう。それだけでは足らないのか、奈央は俺に覆いかぶさるようにさらに詰め寄った。奈央の顔が、すごく近い。

「なんかした、って!? なんにもしてないよ!! ただ空君はお仕事頑張ってただけ!」

 台詞だけ見れば俺は責められていないのに、口調は激しく、奈央が怒るところを見たことがない俺は初めてみるものに驚きを隠せない。

「夏休み中全然あたしと連絡とれないくらい忙しく仕事して、生徒さんの勉強見て、教えてあげて、空君は立派な先生だよ!! ……理央に連絡もらって、急いでここまで来て、ドア開けたとき、あたしがどんなに、どんなに心配したかなんて、空君のお仕事には全然、関係ないんだもんね……」

 俺の顔の横に突いた両腕が、震えている。大きな瞳に涙をいっぱい溜めて、それでも奈央は俺は悪くないと言う。厳しい口調で。泣いてる瞳で。
 確かに夏休み、びっくりするくらい奈央に連絡できなかった。理央を通じて話したりはしていたし、全然会わなかったわけじゃないけど、奈央からのメールや電話に返事してやれることは少なかった。そして多分俺は今日、帰ってきて玄関でぶっ倒れたんだろう。介抱してくれたのも、服を替えてくれたのも全部奈央だ。
 俺が奈央を不安にさせた。心配させた。悪いことした。悲しませた。絶対しちゃいけないことだ。そうわかってるのに、俺が悪いって今全部わかったのに、謝罪の言葉がすぐには出てこない。何より一番自分に驚いたのは、今抱いている感情が、罪悪感ではないことだった。
 奈央の涙が一粒頬に落ちて、それでようやく俺は、「悪い」と声を出した。

「……奈央が、こうして俺のこと顧みてくれる日がくるなんて、思ってなかったから、さ」

 本音が口を突いて出る。奈央は目を見開いて、それからすぐしゅんとして「ごめん」と消え入りそうな声で言う。
 罪悪感もある。でも、それよりも、嬉しい。怒らせるほど心配してもらえてることが嬉しい。俺のことを本当に考えてくれる奈央がいてくれることが嬉しい。一年前は夢のように思っていた幸せが、今当たり前に目の前にあってくらくらする。こんなに幸せでいいんだろうか。俺、もうすぐ死ぬんじゃないだろうか。俺の大好きな奈央が、愛しくて愛しくて仕方ない奈央が、理央じゃなくて、俺のことだけ考えてくれてるんだ!
 そしたらもう、これからは俺にできることは何だってしよう、って自然に思える。俺の全部で奈央を幸せにする。全力で幸せにする。愛しぬいて見せる。
 腕を伸ばして目の前の奈央の身体を抱き寄せる。バランスを崩して小さく悲鳴をあげた奈央が俺に倒れ掛かってくる。しきりに奈央は心配してくれるけど、奈央ひとりなんて羽みたいに軽い。

「奈央、ごめん」

 奈央の髪からふわりと香る花の香りが鼻をくすぐる。奈央、髪伸びたな。似合ってるけど。さらさらの髪に指を通して梳くようにして、何度も何度もそれを繰り返す。
 髪に額に口づけて、息が苦しくなるほど抱きしめて。

「俺、奈央のコイビトなんだもんな。仕事も頑張る。奈央も大事にする。今日は心配かけてホントごめん。俺、全然なってなかった。奈央泣かせるようなことはもう絶対しないから」

 決意を告げて、更に強く奈央を抱きしめて、耳元で「愛してる」と囁く。その言葉以上も、以下もない。俺の気持ちは全部全部、その4文字に込められてる。奈央以上の人になんて、絶対出会えない。奈央の顔は真っ赤だ。そういう奈央を見られるようになったのも嬉しいし。

「……はやく、風邪治してね」
「奈央が看てくれるんならちょっと長引くくらいでもいい。大歓迎」
「生徒さんたちも心配しちゃうよ。……ああ言ったけどあたし、先生してる空君大好きなんだよ」
「知ってるよ」

 奈央の目じりの涙をキスで拭うと、奈央は困ったように笑った。
 知ってるよ。奈央が、俺に先生が似合うって言ったんだ。真に受けてここまで来ちゃったけど後悔なんてしてないし、奈央が隣にいてくれるなら俺は何だってできるよ。
 
「あー、ごめん、奈央。もー眠い、げんかい」

 ほっとしたら急に視界に靄がかかる。
 乗じて意識を白い霧に投げ出すと、簡単に瞼が閉じていく。視界の隅に奈央の顔。さっきの困った笑顔のまんま。
 俺の身体をちゃんとベッドに乗せて、掛布団をかけてくれる。それから、瞼にふわりとやわらかい感触。

「……あたしも、だいすきだよ、空君」

 耳元で囁かれた言葉に大満足して、今度こそ俺は意識を手放した。





二次創作してたら空が書きたくなった。
嶺二と空は似てる、と前々から思ってたから、じゃあ嶺春は空奈央だよね! と思ってバカップル空奈央書いたけど違った。嶺春はこんなんじゃない、もっと、もっと萌える……!!
ASの嶺春シナリオはどうせ、年の差どうのこうので好きなのに踏ん切りがつかない嶺二をはるちゃんのミューズパワーでどうにかする話です。そして吹っ切れた後の嶺二さんが「溺愛テンプテーション」を歌うわけですね。
どうでもいいけど蘭丸の歌さわやかっこいい。どうしたらいいの、あの王子様具合……。ロックとか言っときながらあの爽やかさ、ないわ……。


空が奈央とくっつかないダークサイドの空一人称も書きたい。
シフトもやらずに何やってんだろうなあ私は。もう寝ます。
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2012.09.07(Fri) | 未来話 | cm(0) | tb(0) |

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