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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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ゆらぎ  4



 合唱部の発表が終って、クラスに戻って片づけに向けた仕事をしていると、クラスの男子が慌てて教室に戻ってきた。
 しどろもどろなので要領を得なかったけれど、「屋上で芹沢が」という言葉はわかったので、誰よりも早くあたしは屋上に向かった。なんとなく、わかっていた。そこで何が起きているのか。

「っ………」

 扉を開いた先はすごいことになっていた。五人の男子――全員うちのクラスだ――が折り重なるように倒れていて、もう少しも反応しないそいつらを、芹沢が殴り続けている。芹沢の右手からもぽたぽた血が滴って、いつか見た時のようにべろんと皮がめくれてしまっているのがわかった。こんな芹沢を、あたしは初めて見た。怖いとかなんだとか言われているけど、あたしにはいつでもちょっとやな奴で、でも優しかった。怖いなんてことは一度もなかったのに、その姿は本当に“怖い”としか言いようがなくて、不覚にもあたしは震えてしまっていた。血だらけのクラスメイト、血だらけの芹沢。どっちを見ても、怖かった。
 あたしがその光景を見てすぐに空先生と安藤先生が屋上にやって来た。二人は芹沢をすぐ取り押さえて、倒れたクラスメイトの安否を確認していた。倒れているクラスメイトたちの向こうに、倒れた空き缶があった。その中からこぼれていたものが、問題だった。空先生も安藤先生も顔を見合わせて苦い顔をしていた。
 芹沢はというと平然と先生に連れて行かれていた。これからのことなんてあんまり気にしてないみたいだった。
 そのクラスの男子は全員、あたしの発表会の時間にクラスの出し物をサボった奴らで、芹沢の行動といい、偶然とは思えなかった。喧嘩を売られたのかもしれないし、何かしらあったのだろうとは思うけれどそれが何かはあたしにはわからないし、何かあったとしても、それがどうしてあの行動につながったのかというのは、解せない。
 クラスの出し物の片づけを終えると、後夜祭までの数時間、空きができる。みんなそれぞれ友達と喋ったり、部活のメンバーに会いに行ったり、まあ後夜祭は参加自由だから帰るひともいる。あたしはもやもやした気持ちを抱えたまま、とぼとぼと階段を下りた。クラスの男子たちは一応救急車で運ばれた。表向きは喧嘩ということで処理したらしい。喫煙者が出たとなると問題だからだ。殴られた方の親も警察沙汰は御免だろうし、芹沢は金払う気満々だし。今までもきっとそうやってうやむやにしてきたのだろうと思う。文化祭で盛り上がった生徒がちょっとしたことで喧嘩になって、やりすぎた、というシナリオで処理したらしい。という話を、空先生からちらりと聞いた。あたしは一番最初に屋上に行って、現場を見てしまったから教えてくれたようだ。
 あいつらは救急車で病院に行ったけれど、芹沢がどうなったのかは知らない。気になるけどあまり聞き出せる話題ではなかったから。あの怪我だと、一緒に病院に行っただろう。後夜祭もあれじゃあ出られそうにないだろうし。水城、きっとすごく心配しながら怒るんだろうなあ。
 ゆっくり階段を降り切ったところで、図ったかのように携帯が震えた。みんな後夜祭に行くからか、下駄箱の近くには人の影は見当たらない。薄暗くて広い場所にひとりというのは、なんだか不気味だ。急いで画面を確認すると、それは、まさかの、芹沢からのメール。



『保健室で待ってる』




(……いた)

 芹沢がいた。電気もつけないで、沈みかけの夕日のオレンジ色だけが注ぐ暗い部屋の中でひとり、机の上に傷ついた右腕を伸ばしている。保健の先生は不在らしい。

「……せりざわ?」

 恐る恐る声を掛けて部屋に入ると、芹沢はこっちに視線を向けて、「おう」と言った。あまりにもそれがいつもどおりで、なんだかさみしくなる。
 芹沢の目の前に椅子を持ってきて腰かけて、次に何を言おうか考える。声をかけるのを、いちいち躊躇ってしまう。どれが普段の芹沢なのか、わからない。

「……消毒、してもらってないの? 先生は?」

 近くにあった椅子を引き寄せて、芹沢の目の前に座る。
 芹沢はため息交じりに、無事な左手でがしがしと頭を掻いた。

「救急車に着いて行った。消毒は自分でできるっつったらいい人払いになった」
「なんでできないこと言うわけ? ……やったことないから、下手でいいなら、あたしやったげるけど」

 芹沢の利き手は右だ。左で上手くやるのは難しいだろうと思う。スポーツやってるから多少やったことはあるかもしれないけど、それでも絶対誰かに手伝ってもらってただろうし。必要ないなら断ればいい話だ。

「……頼む」

 芹沢は珍しく小さい声で、そういう。

(……『待ってる』なんて、小間使いほしかっただけじゃない)

 そんなことも思うけど、それはそれで芹沢らしいとも思う。素直に人を頼れない人なのかもしれない。
 あたし自身は普段怪我なんてしないし、したとしても小さい擦り傷や切り傷くらいだから絆創膏で大概事足りてしまう。包帯なんて使ったことないし、うまくできるかわからないけれど、こんな怪我の芹沢を放置しておいておくなんてできない。
 脱脂綿を水で浸して傷口を拭いて、それから消毒をする。消毒液を染み込ませた脱脂綿が傷口に触れると、沁みるのか痛そうに芹沢が顔を歪める。自業自得だ。消毒した傷口はじくじくと泡になっていた。
 芹沢も、あたしも、しゃべらなかった。ただただ保健室は静かなばっかりで、校舎にいた生徒のほとんどは帰ったか体育館へ行ってしまったようで、この校舎でこの部屋だけが取り残されたみたい。
 待ってる、なんてメールが来たから、少しだけ期待してしまった。実際はこうして介抱する人がほしかっただけなのだろうけれど、この芹沢が一番にあたしを頼ってくれて、素直に嬉しいと思う。
 怖い気持ちも確かにある。あんな風に人をぼろぼろにできてしまう芹沢は、怖い。でも、傷ついたこの右手の持ち主が、雨の日にあたしにタオルを貸してくれて、傘に入れてくれて、夏祭りに椿の簪をくれて、大変だったうちのクラスの喫茶店を手伝ってくれて、あたしの合唱部の発表を聞きに来てくれた。
 あたしにはわかんないよ、芹沢。気が付いたらあんたでドキドキすることばっかりなんだもん。
 慣れない手つきで包帯を巻く。包帯の巻き方はやっぱり芹沢が詳しいから、ひとつふたつアドバイスを受けて、その通りにしたら、なんとか形になった。
 包帯を巻き終えた拳を何度か握ったり開いたりを繰り返して、芹沢も大丈夫そうだと判断したらしい。

「……さんきゅ、葉山。助かった」
「別にいいよ。お粗末様でした」

 ありがとうを言うなら、あたしの方だ。この手の傷を、あたしが全く関係ないとは言わせないんだから。
 手当に使った道具を片づけながら、「あたしの方こそ、ありがとう」と呟く。恥ずかしくて、顔を見ることはできなかった。

「あ? なんで」
「合唱部、聞きに来てくれたでしょ。……だから、ありがと」

 芹沢が、いつからいてくれたのかはわからないけれど、芹沢はちゃんと来てくれた。
 本当はすこし悔いが残る。それを口にしたら、泣いてしまいそうだった。

「……綺麗に丸くおさめようとしてんじゃねえよ。俺はあんなんじゃ全然納得できねえし」
「っ、でも、最後歌えたし、芹沢にも一曲だけだけど聞いてもらえたし、満足だよ」
「嘘つくな」
「嘘じゃないよ!!」

 嘘じゃない。一曲だけでも舞台に立てた、って本当に救われた気持ちだった。息上がっちゃって、とても聞かせられるような代物じゃなかったけれど、頑張ってきた証を最後に少しだけでも出せて本当に本当によかった。芹沢がそれを聞いてくれていたのなら、もっと嬉しい。
 開演時間なのに教室から出られなくて、あの時間ずっと泣きそうだった。あたしが手を伸ばしたことだから頑張らなきゃ、って、そうして蓋をした。
 泣いて叫んでどうにかなるなら時間を戻してほしい。でもそれはできないことでしょう? 芹沢がいくらお金持ちだからってそれはできない。だから自分の心と折り合いをつけるしかない。
 自分に言い聞かせるように頭の中で何度もそう念じて、ぎゅっと目を閉じると、目じりから涙が染み出すのがわかった。悔しいけど、悲しいけど、でも、一曲だけでも歌えたんだから。そのたった一曲をあんたが聞いてくれたんだからそれでいいって言ってんじゃん馬鹿。ほんっと馬鹿!!
 あたしが泣いてるのがわかったのか、芹沢の空気がなんとなくおろおろし始めて、それがわかったらあたしも余計にとまらなくなって、声を噛み殺している間にぼろぼろと涙が零れるようになってしまっていた。こんなはずじゃなかったのに、正直すごく恥ずかしい。

「わ、悪い、泣かすつもりはなかった」
「わ、かってるよ、あたしも、ごめん」
「……流風に憧れるのは結構だが、なんでも抱え込むとこまで真似すんなよな」

 芹沢が、少し照れたようにそう言いながら、怪我をした右手であたしの左手を握る。包帯のざらざらした感触がわかる。そのまま手を離されて、包帯で拭うように目元に触れられた。一瞬驚いたけれど、目を開けるとすぐ傍で芹沢が笑っていた。

「……葉山が好きだ」
「……うん」

 その台詞はあまりに自然で、なんかもう、ドキドキすることも忘れていた。あんまり自然にそう言うから、涙交じりに笑うことしかできなかった。
 その言葉を期待してここに来たくせに。

「だから、流風連れてかなかった、悪い」
「……いいよ、水城にも聞いてほしかったけど、元々はあんた誘うためだったし」
「は!?」
「何かと流風流風って言うから、水城一緒じゃないと来てくれないのかと思って」

 芹沢は聞かれてもいないのに何だかんだとやたら水城を引き合いに出す。
 親友だからなんだろうとは思っていたし、文化祭ひとりで行動する人とも思えなかったから、水城とセットで誘えば来てくれると思ってた。
 実際はひとりで来てくれたんだからそれだけで十分嬉しかったんだけど。

「………あいつら殴ってくれてありがと。ちょっとスカッとした」
「腹立ったらセーブ効かなかった。迷惑かけたな」
「別に。あたしはちょっと話聞かれただけだし、あたしに関係してるなんて誰も思ってないよ」
「ならよかった」

 なんか告白しましたされましたとは縁遠い雰囲気になっちゃったけど、なんとなく分かってたしこれでいいのかも。
 あたしの頬に触れていた手を離して、芹沢は立ち上がる。

「帰ってちゃんと病院で診てもらいなよ」
「は? 何言ってんだ、これから体育館だろ」

 芹沢は、何を当然のことを、とでも言いたげに目を丸くしていた。驚きたいのはこっちだ。ていうかこの馬鹿何言ってんだろう。

「そんな怪我で出るの!? 後夜祭に!?」
「お前の憧れの王子様がこんな理由で出場辞退なんて、怒り狂うの目に見えてんだろうが」
「そりゃそうだけど、でも手動かせないでしょ?」
「十分程度ならいけんだろ。部活も引退してるし――っと」

 保健室の扉の前で、芹沢の携帯が鳴った。左手で難なく通話を始めると、漏れて聞こえる通話の相手はどうやら水城のようだった。遅いから急かしにきたのかも。

「あー悪ぃ悪ぃ、今行く。つーか伊賀奇平気かよ?」
『本番前にヘバるなんて許さねえっつーの、俺が。で? ヤマトお前怪我へーきなの?』
「何、バレてんの? 怪我は平気。今可愛い彼女に手当してもらったとこなんで」
『どさくさに紛れて惚気てんじゃねえよ。なんだ、じゃあ葉山もそこにいるんだ?』
「いるよ、もちろん」

 近くに立っていたから、会話がほとんど聞こえた。なんかもう全部バレてるんだと思うと今更ものすごくはずかしい。死にたい。
 真っ赤になった顔にぱたぱたと手で風を送っていると、芹沢があたしに携帯を差し出した。替われということらしい。
 恐る恐る携帯に耳を近づける。

『おめでとう、ヤマトの彼女サン?』
「ちゃ、茶化すのやめてよ水城っ」
『なんで。いーじゃん、俺ヤマトのことめっちゃ応援してたし。似合いだと思うし、何よりあのヤマトがベタ惚れだからなあ』
「は、はずかしいからそういうこと言わないでー!!」
『なるほど、これがリア充爆発しろ、って奴か。……それはそうとさ、葉山』

 水城の声色が変わった。ちょっと真剣そう。

『俺たちと後夜祭出ないか? 伊賀奇とツインボーカルで』
「……へ? え、あ、あたしが!? 無理! 無理無理ぜったい無理!!」
『実行委員には俺とヤマトと生徒会長サマでごり押ししてメンバー追加認めさせるし、曲も葉山も知ってるメジャーなのしかやらないからさ。ハモれとか言ってるわけじゃないから、やろうよ一緒に』

 慌てて芹沢の顔を見ると、流風と空先生が言い出したんだ、と呟いていた。
 戸惑って、でも嬉しくて、涙が出そう。

『よし、決まりな。せんせーも本番前の合わせくらいは一緒にやってくれるって言うから。早く音楽室来いよ』

 それだけ言って電話は切れた。電話を芹沢に返す。

「流風も空先生もやたらお前のこと気にしてたからな。あいつらの厚意と思って受け取れよ」
「で、でも、芹沢に、伊賀奇に、水城に、空先生に、ケレス先生って、壮大な五人組なんだけど……。あたしが中に入ったら大変な顰蹙じゃないかなあ……」
「あ? お前に文句なんか言わせるわけねぇだろ、俺がいんだから」

 芹沢がにっと笑って、左手であたしの肩を押す。芹沢の言葉は、聞いていて安心する。嘘じゃないってわかる。
 嬉しいやら恥ずかしいやらわけがわかんなくなってるけど、芹沢も水城も、あたしのことたくさん心配してくれてるんだ。それは本当に本当に嬉しい。

「うっし、じゃあ歌姫様の凱旋と参りますか!」
「やめてよねそういう恥ずかしいこと言うの」

 保健室を出る。数十分前ここに来た時とは、随分空気が変わったように感じる。
 胸のドキドキがまだおさまらない。タイミング逃して言えなかった、あたしも好き、って言葉が言えるのは一体いつになるだろう。





リア充爆発しろ。



一回全部書いたのが消えたのでやる気失ってましたが、クリスマスネタ書きたいなあと思って再燃。
ツキ高時代はもうちょっと大和俺様だったはずなのに、割とご近所寄りになった。
本当に大和はいろんなところひっくるめてルミ大好きだよなと思う。
クリスマスにはちょっと引くくらいの豪奢なドレスプレゼントして、舞踏会で注目されればいい。
流風とか大和が3年のクリスマスは、ユリ高面子もお呼ばれされてたらいいな。
漣に猛烈アプローチ受けるルミとジェラってますオーラ出しまくりの大和とかおいしいです。
そして真ん中から流風と慎吾が掻っ攫っていけばいい。割と流風と慎吾が共謀するのも好きです。ルミがいろんな人に甘やかされてる展開がすごくおいしい。自分のところの女子キャラの中ではルミが可愛がられてるのが一番おいしいです。ふつうの子だから!


3年の後夜祭って確かバンド組むよね? ルミ参加してもうちょっとボイスにパワーあげようかなっていう。
確か全員和服着用でバンドだった気がするので(流風・大和が同じクラスだしケレス先生も担任だから絶対着せてるし)、空と創兵くんとルミはA組の衣装借りて出たらいい。
流風と大和と生徒会長の力があれば実行委員も折れるだろうきっと。多分空も加勢するだろうし。
文句言うやつは問答無用で大和が締めるけど、おそらく一番怖いのは流風だと思う。流風も結構ルミ気に入ってるからそういう文句は絶対許さない。そんな流風だから椿のこと実の娘レベルで可愛がっちゃう。


ユリ高もかきたい。
流風反転でゆずっち書きたい。葉風ちゃん的な流風さん書きたい。後輩と付き合ってるくせに担任の先生にガチで惚れてる女子高生おいしい。
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2012.12.13(Thu) | きづき/ゆらぎ | cm(0) | tb(0) |

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