プロフィール

軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.--(--) | スポンサー広告 |

4の残像



 水城 流風という男は天才であったと、慎吾は思う。この母校の体育館の床がバッシュでキュ、と鳴る度に、そう思う。彼のことを忘れた日は一日としてなかった。
 慎吾が初めてバスケに向き合ったのは、中学二年のことだった。それまでは体育は嫌いではなかったが部活には入っていなかったし、バスケは授業でやるもので、短い間に何度もコートを往復するからシャトルランのようなものだと思っていた。授業でのバスケなど真面目にやる生徒がいなかったこともあり、そこまで魅力あるスポーツとは思えなかった。サッカーもコートが広いので授業でやるだけで疲れる。どちらかといえば個人種目である陸上競技や、動きなども役割が決まっていてわかりやすい野球の方が好きだった。その認識が変わったのが、中学二年の春だ。バスケ部の友人が、練習試合をやるからぜひ見に来いというので土曜にも関わらず学校へ行った。その時の対戦相手が、流風の学校だった。友人の応援に行ったはずなのに、慎吾の目は敵方の司令塔の姿に釘付けになった。軽やかで素早い身のこなし。彼の掌に吸い付いたかのようなボールの動き。ゲームの流れを読んだパスさばき。男子生徒にしては少し長めの黒い髪を汗で湿らせながらも、確実にその男子生徒はゲームの流れを握っていた。得点源となるシューターはもちろん存在していたけれど、いざとなれば彼が自分で決めに行く。背は慎吾ほど高くはないけれど、ジャンプ力はそこそこだし何よりもシュートは的確だ。チームのメンバーから信頼を寄せられていることも、わかる。彼にボールを任せれば負けない、とメンバーが信じているのが、見ている慎吾にも伝わってくる。チームを率いるということが彼の個人技なのだろう。
 観戦から帰った後も試合の熱気がまだ残る。あんなバスケなら、してみたい。あんな人と一緒のコートに立ってみたい。俺じゃああはなれないだろうけどあの人と一緒のチームに入ってみたい――。その思いから、翌週の月曜にはバスケ部に入部していた。その時点で身長が170後半あった慎吾は、高さ不足だったそのチームではすぐに重宝された。元々の生真面目な性格で練習も欠かさなかったし、実力を伸ばしていくのも、本当に早かった。そうこうしているうちに当時の三年は引退し、受験、そして卒業していく。慎吾の憧れたその生徒は一体どこの強豪へ進学したのか。顧問に頼み込んで進学先を調べてもらうと、文武両道を謳いながらもその実スポーツではほぼ実績を残せていない私立高に行ったことがわかった。なぜ、どうして。そう思わなかったわけではないが、それでも、その人がまだバスケを続けていることを信じて、偏差値の低くないその高校に入るため練習と並行して勉強も頑張った。おかげで、この月見ヶ丘高校を母校とすることができたわけだ。

「何浸ってるんの、野島コーチ。気色悪い」
「……遅れてきて第一声がソレって感じ悪いっス」
「遅れたんじゃなくて職員会議だし」
「さすが横暴腹黒眼鏡で生徒に定評のある樹崎先生! さすがです!」

 職員会議で遅れてやってきた、バスケ部顧問の樹崎ミナトが持っていたボードでばしんと慎吾の頭を殴る。二十センチ以上ある身長差をもろともしない攻撃であった。
 ミナトはホイッスルを吹き、部員たちに十五分の休憩を言い渡す。休憩の後は試合形式の練習をする予定だ。来週末から冬の大会の予選が始まる。こうして慎吾が練習を見に来れる時にはしっかり試合のイメージ作りをするのがこの部のスタイルとなっていた。

「流風先輩のこと思い出してました。夏のインハイとか冬近くなるとやっぱ思い出しちゃって」
「まあ、水城は冬出なかったもんな」
「ほんと、俺に4番任せて夏で引退とかどーかしてますよね」

 水城 流風は会って話してみると顔は綺麗でクールを気取っているが中身は結構な体育会系で、ちょっと引くほどの努力家だった。自分は天才ではないから努力しないと一番になれない、と一番にこだわり続けた。さすがにこの学校で日本一になるのは無理だったが、それでも、無名の高校が名を馳せるには十分な成績だった。
 蒸し暑い初夏の体育館。部員全員で円陣を組んだ、インターハイ本選の試合前日。流風は進学先を海外と決めていたから、冬の大会には出られない。夏で引退して、主将は慎吾に譲ることも、もう決定事項だった。流風の背中を追いかけて、追いついたら追い越したくて、そうして一緒に練習に励んできた流風がバスケから離れるというのは慎吾にとっては苦痛以外の何物でもなかったが、流風は頑固だから、こうと決めたことはどれだけの努力をしてでも必ず成し遂げる。膝を折っても、吐くほど辛くても、絶対にやり遂げる。それを一番よく知っている慎吾だからこそ、その時できることは少しでも長く流風とバスケをしていられるように、ひとつでも多く勝つこと。それだけだった。
 試合中、盗むように奪うように流風の動きを見ていた。一挙一動忘れるまいと網膜に焼き付けた。流風は、自分は天才ではないと言った。慎吾の才能を羨ましいと言ったこともあった。けれど、本当にそうだろうか。いつも慎吾にはそれが疑問だった。これだけの信頼と実力を勝ち取る人が、才能がないなんて嘘だ。流風の血を吐くような努力すべてを才能の一言で片づけるつもりは毛頭ない。でも、単に努力の一言で片づけられるレベルでなかったこともまた、慎吾はよく知っている。慎吾だって流風を信じている。他のレギュラーメンバーも、流風を信じている。頑固で、クールぶっているくせにいやに熱血で、馬鹿みたいに努力家なのにそんな素振りは慎吾以外には見せなくて。誰もが認めざるを得ない実力を手にしているからこそ、信頼せざるを得ない。流風がコートにいれば、必ず得点に繋がることを信じていた。
 結果的に、大会は四位という十分すぎる好成績を残すこととなった。流風は一番が大好きだったから不服そうな顔をしていた。負けた試合も三点差で、大差と言えなかっただけ悔しい思いをした。

『……やっぱ日本一は望みすぎたか。悪かったな、力不足で』

 ロッカールームで悔しそうに流風は、そう言った。千切れそうなほど首を横に振った自分を、慎吾はよく覚えている。

『っお、俺、俺が、俺がもっと、』

 流風の言葉を否定したい気持ちと、自分に対する不甲斐なさと、謝罪と、感謝と、いろいろな気持ちが混ざって声にならなかった。出てくるのは涙と嗚咽ばかりで、四位で終われたのはこの学校では快挙だというのもわかっているけれど、そんなことよりも、もう流風と一緒にコートに立てないのだという残念な気持ちの方が大きかった。流風よりも二十センチ近く大きな体を折り曲げて、顔を汗と涙でぐしゃぐしゃにして慎吾は泣いた。流風の同級生のチームメイトも、慎吾と同学年のチームメイトも、みんな涙ぐんでいた。
 俺がもっと頑張れば、もっと先輩のサポートができれば、もっと上手かったら。そうは思うけれど、慎吾は自分の今の感情は、たとえ日本一になったとしても変わらなかっただろうことも、わかっている。流風は、もうバスケから離れるのだから。優勝できたとしたってその事実は変わらない。
 大泣きする慎吾と、涙ぐむチームメイトを見て、流風自身は涙するタイミングを失ったのか、笑っていた。

『……慎吾』

 力強く名前を呼ぶその声に、慎吾はぐしゃぐしゃの顔を上げた。

『あとは頼んだからな、キャプテン』




「げ、今日コーチ来る日でした、っけ?」

 恐る恐る入口から入ってきた生徒はバスケ部の部員だった。ミーハーな性格で高校からバスケを始めたおちゃらけ者。しかし運動神経は悪くなく、しっかり練習すればそれなりに伸びるだろうと慎吾も目をつけていた一年生。いかんせん、やる気の方はない。真面目の真の字もまともに書けないかもしれない。やればできるんですけどね! が常套句のしょうもないガキだ。ミナトは笑顔を張り付けたまま生徒の元へ向かう。それに慎吾も続いた。
 するとちょうど外周に行っていた一年生部員がぞろぞろと帰ってきた。先頭にいるのは慎吾最愛の一人息子、恒輝である。恒輝は軽く肩で息をしながら、入口の生徒を見つけると堂々を指をさす。

「うおい穂高ぁ!!! おっ前何練習サボってんだよ!!」
「悪ィ悪ィ、ちょっと屋上で青春してたらこんな時間に☆」
「部室までは俺と一緒に来たじゃねえか!! どこで消えた!」
「俺の仕事の速さを甘く見ると痛い目見るぜ!」

 とまあこの軽さである。元から真面目な性格な慎吾とミナトはこの生徒に手を焼いていた。恒輝は賢くははないが、バスケに関しては真っ直ぐだ。曲がったことが嫌いな性格は慎吾譲りだろう。
 次に動いたのはミナトだった。にこにこと満面の笑みを顔に張り付けたまま、ぽんと生徒の肩に手を置く。

「渡会君、いくらお母さんがいるからって言っても僕は手抜かないからね? ――外周20行ってこい」

 それを部員たちは絶対零度の微笑みと呼ぶ。そして本当に手を抜いてはくれない。ミナトが20と言ったら20だ。それ以上はあってもそれ以下は絶対にない。
 月見ヶ丘高校男子バスケ部員たちに一番恐れられているのは顧問であるミナトだ。自分が在籍していた頃の流風レベルの厳しさに、慎吾は寒気すら覚える。

「恒輝、穂高だけじゃ可哀想だからお前も一緒に行ってこい」
「はぁああああああ!? なんで俺がっ、今行ってきたばっかなのに!!」
「お前っ、尊敬する野島慎吾の言うことを無視するのか! 無礼者!」
「穂高お前もう死ねよ……」

 試合形式の練習といってもまずは二年と三年の調整からだ。レギュラーである恒輝が減るのは痛いが、レギュラーとの調整は後回しにすればいい。足腰を鍛えるのは悪いことではないし、息子だからといってここで甘く見るわけにはいかない。恒輝には天性のものがあると父である慎吾も感じているが、それを親の甘やかしで殺してしまうのは本当に勿体ない。幸い恒輝はバスケが好きで、これからも続けていこうと思ってくれているようだし、自分は元プロ選手だ。先輩として、指導者として、親として、恒輝の才能を伸ばすためにできる限りのことをしてやりたい。
 渋々穂高と追加の外周に行った恒輝の背を見つめていると、ミナトが意外そうな顔でこちらを見ていた。

「野島は息子溺愛しすぎで気色悪い、ととある大金持ちから聞いたけど」
「それどこの芹沢 大和ですか」
「残念、ご夫妻からでした」 
「嫁さんも一緒になって俺の悪口言ってんスか」

 慎吾と同じように、この学校で男子バレー部のコーチをしている大金持ちの道楽者の顔を思い浮かべた。その名も芹沢 大和。その妻であるルミ。二人ともこの学校の卒業生で、慎吾のひとつ上の先輩。そして流風の理解者でもあった。

「まあ、そんなのは冗談だし、芹沢も人のこと言えないくらい椿くんには甘いじゃん」
「そーですね。ああいうのをダメ親ってんですよ」
「お前も言うねえ」

 スーツ姿のミナトは体育館の壁に寄りかかって、眼鏡のブリッジを中指で軽く上げた。メタルフレームの眼鏡は彼によく似合っている。横暴腹黒眼鏡の異名にぴったりの眼鏡だ、と口には出さず慎吾は思っている。

「……けど、意外には思ってたよ。プロ引退して指導者になるだろうとは思ってたけどさ、まさかうちのコーチ買って出てくれるなんて」

 水城が生きてたら、それもアリかとは思ったんだけどね。
 少しだけ寂しそうにミナトがそう言うから、慎吾にもどこか物寂しい感情がぶり返してきた。ロッカールームで聞いた、流風の声が、記憶に脚色されて、いやに切なく響く。

「……ん、まあ、俺もいろいろ考えたんスけど。……流風先輩が引退した後の俺のプレーは、絶対先輩がベースになってるんで。ポジションもセンターから流風先輩と同じポジションやるようになって、流風先輩がいた頃には自分がそこに立つなんて想像もできなかったのに、実際やってみると違和感もあんまりなくてしっくり来てて。だから、俺が世間に成功したプレーヤーって思ってんなら、その基盤を作ってくれたこの学校にはやっぱ恩返ししないとって。まさかまさか自分のガキまでここにくるとは思ってなかったですけど」
「水城がいなくても?」
「先輩がいなくても。いてもいなくても、俺の感謝の気持ちは変わらないんで」

 慎吾が、流風がアメリカで事故に遭って死んだということを聞いたのは、自分がアメリカでのプロ生活を終えて帰国した後、流風の死から実に一年は経過してからだった。
 ミナトや芹沢の二人をはじめ、日本にいた知り合いは全員リアルタイムでその情報を耳に入れていた。一番懐いていた後輩の慎吾には、誰もその情報を与えることができなかった。
 帰国してすぐにそれを知らされた慎吾は、はじめに妻を責めた。それがお門違いであることは重々承知していた。けれど言わずにはいられなかった。自分のことを誰より知っていながら、どうして教えてくれなかったのかと。
 幼い恒輝を育てながら慎吾の帰りを待っていた妻の千咲は、きゅっと唇を噛んだ。波に乗り始めた慎吾の調子を崩すことだけはしたくなかったのだと、彼女は妻として、相棒として答えた。その優しさと、確かに流風の死を告げられたら調子を崩しかねなかった自分の不甲斐なさにも苛立ちを隠せなかった。
 忘れようと思っても、忘れることなどできない。今の自分を作ってくれた大切な人だ。千咲や恒輝とは別次元で、本当に大切な人だった。今はもういないけれど、彼の姿はいつまでも脳裏に焼き付いて離れない。

「……ほんとお前水城大好きな。治んないの?」
「治るわけないですよ。俺、一生先輩に憧れつづけますから」

 追いついて、追い越したと思ったのに、まだまだ瞼の裏の消えないユニフォーム姿に苦笑せざるをえない。






そろそろ炎而くんと真紘の話をかきたい。



慎吾と流風のことは書こうと思ったらすげえ長くなりそう。最後の試合とかな。
インターハイ4位とか無理だろって思うけどまあそこはご都合主義で。
WCで慎吾がキャプテンで8位、次のIHで6位、最後のWCは流風と同じ4位とかだと楽しいな。
流風が死んだって知った時の慎吾とか、ほんと発狂モンだろうなあ。
けど千咲さんと恒輝がいるから、学生時代の流風死亡ルートみたいにはならないだろうけど。


穂高めっちゃチャラいwwwww
穂高書くの多分すげえ楽しいwwwwww
屋上で青春=モンハンやってた、とかだったら多分ミナトに殺されるこいつwww
お母さんは一応はるちゃんと思ってるけど謎でもいい。はるちゃんがダメ男に絆されて結婚しちゃったwww
それでもアルヴィンの子供ならきっと基本スペックは高い。それなりにイケメンwww
しかしこいつ軽い、ほんとに軽い。
恒輝って中身も慎吾だけど大丈夫か。


はるちゃんと穂積が結婚と思ったら、奥出先生がはるちゃんを猛然と説得してそうな気がする。あんなのはやめておきなさい、人生の汚点ですよとか言ってくれそう。ほんとだよね!
新婚の炎而くんと椿書いてたら砂糖吐けそうだったんで諦めたというのは秘密です。
そして慎吾とミナトと穂高書いてたら私黒バス二次書けんじゃね?と思ったのも秘密です。
慎吾:ほぼ黄瀬
ミナト:CVと口調がオヤコロ
穂高:テンションがHSK
ちなみに本筋樹理とかこのルートの椿(男)の口調はほぼ黒子じゃね?
スポンサーサイト

2013.03.23(Sat) | 擬似親子 | cm(0) | tb(0) |

この記事へのトラックバックURL
http://hechima1222.blog88.fc2.com/tb.php/956-f7cd2f0a
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
Name
E-Mail
URL
Title

password
管理者にだけ表示を許可
/
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。