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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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生徒会予備軍




 芹沢家の朝は早い。使用人は皆朝五時には仕事を始めているし、炎而の父である拓海も母の紗央もそれと同じくらいの時間には起床する。父のあの性格で寝起きの時間は割としっかりしているのが炎而としては未だに疑問である。逆に朝が弱いのは妹のみのりだ。あの高飛車な物言いの少女が実は朝が弱く、炎而が何度声を掛けてもギリギリまで起きられないなどみのりの学校の生徒は想像もできないだろう。
 かく言う炎而はと言うと、朝は苦手ではない。朝の五時過ぎには起きて、三十分ほどランニングに出るのが日課だ。父の指示で、週に二度剣道を習いに出かけている。その体力づくりもあって、走り込みは中学の頃から欠かさずに続けていた。今日も今日とてロードワークに勤しみ、たった今帰ってきたところだ。初秋の朝は少しずつ気温が下がっており、Tシャツで走るにはちょうどいい気温だった。汗ばんだ肌を首にかけたタオルで拭いながら門をくぐると、庭の掃き掃除をしていた使用人の女性に声をかけられた。

「おはようございます、炎而ぼっちゃん」
「ああ、おはよう」
「十分ほど前ですが、奥様が探しておられましたよ」
「母さんが? なんだろう」

 紗央が朝から炎而を探すことなどまずない。怒られるようなことなんてしていないし、わざわざ探すような緊急事態などそれはそれで何事なのか見当もつかない。首を捻る炎而に、使用人は笑って付け加えた。

「お電話だったようです」
「電話ぁ!? こんな時間に!?」

 まだ朝の六時前だ。そんな早朝からの電話など常識的ではない。学校の連絡網にしたって確か六時以降という決まりがあったはずだ。

「京都からのご連絡だったようで、後で折り返すと伝えたみたいですけど」
「京都、……なんだ、真紘か。ありがとう、折り返してみるよ」

 この非常識な時間の電話。母が自分を探すということ。相手はひとりしか考えられなかった。
 使用人に礼を言うと、炎而は小走りで母屋に向かった。




『遅ェんだよ馬鹿が』
「誰が馬鹿だ。こんな時間に掛けてくるのが非常識だ」
『こんな時間に掛けてんのにいねェ方が常識から外れてんだろ』
「なんでそう揚げ足取るんだよ、普段深夜にしか掛けてこないくせに」

 電話の向こうの相手は京都にいる。傲慢、不遜、傍若無人。およそ長所が見当たらない相手で、しかも炎而はその相手に会ったことは一度もない。写真も見たことはない。ただたまに電話をするだけの相手。親戚でもないので血も繋がっていない。
 相手は都筑 真紘という名前で、炎而と同い年だという。向こうももちろん、炎而と会ったことはない。親同士は知り合いだということで、炎而なり真紘の姿は見ているらしいが、子供の頃といっても赤ん坊の頃の一時だけで、それ以来顔は見ていない。親同士の交流だけにとどめているらしい。しかし何故か物心ついたころから電話での交流だけがあり、こうして今でも続いている。電話は必ず家にかかってくる。携帯電話の番号の交換も、メールアドレスの交換も、手紙のやり取りも、なぜか親によって禁止されている。疑問に思った時期もあるにはあったが、何せこのやり取りが始まったのが昔のことすぎて、今では当たり前にこうして電話でのやり取りを続けている。全く会いたくないわけではないが、直接会ってうまくやれる自信もない。話は全く合わないわけではないけれど、向こうはあの傲慢な性格である。炎而のごく身近に似たような人物がいるため、直接会話するのは骨が折れそうだとよく思うのだ。

「で? 何の用」
『特にない。珍しく早くに目ェ覚めたからな、することもねェし』
「特にないって、……そんなんで馬鹿呼ばわりされたらたまんないな」
『まーそう言うなって!』

 電話の向こうの相手はからからと笑う。よく響く低音といい、この物言いといい、真紘は炎而のよく知る――父にどこか似ているところがある。姿を想像しても、なぜか父の顔が浮かぶ。そりゃさすがに真紘に失礼だ、と思い直すのだがどうも一度浮かんだ面影は消えそうにない。
 何の用もないからと言って、あっそ、じゃあ切るわ、とあっさり終わらせるのも微妙なので、それから数分当たりさわりのない話をした。まずは家族のこと。向こうも妹がいる。そして父親も炎而の父に負けず劣らずの曲者だ。電話をすればその曲者エピソードをお互いに披露することになっている。あとは学校のこと。真紘はこの性格だが成績はそれなりらしい。しかしガリ勉というわけでも、学年トップというわけでもない。学力勝負をすれば炎而は自分が勝つ自信がある。
 そんな取り留めない話を続けていた途中、「あ」と真紘が言葉を切った。なんだよ、と問い返せば、電話の向こうの声はまた可笑しそうに笑う。

『そーだ炎而、俺年末そっち行くわ』
「……は!?」
『だァから、年末にそっち行くって。お前の学校何か変わったイベントあんだろ? それ見に行くからついて来いって親父に言われてさ』
「ちょ、ちょっと待った、それ一番重要だろ!! 電話する用事何もないとか嘘つくな!!」
『あ? 別にいちいち報告することじゃねェだろ、報告してお前が何つっても俺はそっち行くし』

 そりゃあそうだろうが、そういうこっちゃねえよ――という台詞はすんでのところで飲み込んだ。
 十年以上声だけを聴いてきた相手だ、その相手があと数か月で目の前に現れる。直接会っては対応が面倒そう、というのは事実だが、実際会えるとなればそれなりに楽しみでもある。

「そ、っか。もちろんうちに泊まるんだよな」
『ははっ、んなのまだ分かんねえよ。でもそーなるんじゃね?』
「初めて会うんだよな。俺の顔知ってるとかないよな?」
『ねえよ。お前は知らねェだろうが、芹沢からの郵便物って検閲すげえの!』
「そりゃうちもだって。都筑からなんか届いたってなると絶対父さん直々にチェックだし」
『だよなあ! うちもだ!!』

 舞踏会の時期には会える、ということは、そこを機にいろいろ解禁になるのだろう。これまで何故こんなにも隔たりを持たされていたのかはわからないが、今となってはどうでもいい。

「楽しみだな」
『多少な』

 お互いこれから学校があるということで、その日の電話はそこで終えた。




 朝食の席で父とは顔を合わせたが、何か伝えられる素振りはなかった。親同士で話は通っているはずだし、それならばこちらから特に言い出す必要もないだろうと炎而は電話の内容は特に告げずに家を出た。
 家は八時前には必ず着くように出る。課題などは家で済ませているが、面倒な授業に合わせて朝のうちに軽く予習をするためだ。
 校門に近づくと、数名の生徒が立って登校中の生徒たちに何やら声を掛けている。彼らの服装は、制服にたすき。ああ、そういえば。

「おはよう景央。いよいよ追い込みか」

 炎而はひとりの長身の男子生徒に声をかける。声をかけられた生徒は振り向いて、ぱあっとその表情を綻ばせた。

「おはよう芹沢! 信任投票ではあるが、手を抜くのは間違ってるからな」
「大変だな、次期会長も」
「やりたくてやってるんだ、苦ではないよ」

 今週の金曜の六限は全校生徒が体育館に集結しての生徒会選挙だ。といってもやりたがる人間がそんなにいるわけもなく、会長をはじめすべての役職は今回信任投票となるらしい。各役職にひとりずつしか立候補がいないのだから、余程悪名高くなければ決まりの選挙となる。それでも手を抜かないのだと宣言できるのならば、信任投票といえど会長を任せてやろうという気にもなる。
 すらりとした長身は炎而よりも数センチ高い。それでいてきっちりと着こなした黒の制服がよく似合う。肩から下げるたすきには『会長立候補』の文字。彼こそ、月見ヶ丘高校生徒会現任副会長、そしてこの度の選挙でおそらく会長となるだろう瀬川 景央だ。人当りがよく、怒ったところなど見たことがない。それでいて正義感が強く、筋の通らないことは言わないし、大嫌いだときた。熱血少年漫画の主人公みたいな男だが、それもそのはず元祖少年漫画主人公っぽさツキ高ナンバーワンを誇る瀬川 空教諭の愛息子である。先生が親だからといって驕っているわけでもないし、それどころか彼はおそらく親よりも賢い。将来の夢は医者ですと公言できるだけのことはある。

「これで全員か? ちょっと少ない気がするけど」
「いや、半々だ。今日は俺と二年書記、一年会計だけで、残りは明日になる。立候補者だけで二年で四人、一年三人いるんだ。それプラス応援者まで来たら校門がごったがえすだろ? 日を分けるよう指示があった」
「それが妥当だな。お前の応援って今年もあいつか?」
「残念ながら、その通りだ」

 景央はにこりと笑うと、坂を上って登校してくる生徒たちに向かって声を張り上げチラシを配る男子生徒に向かって声を掛けた。

「とーや、あんまりうるさいと得票率下がる」
「あー!? おっ前、この人気者起用しといてその言いぐさアリか!? お、エンジはよー」
「おはよう琴也。お前ライブの練習はいいのかよ」
「そーなんだよ、それなのに次期会長サマってばこの物言いよ? ライブ前のボーカル捕まえといてこの言い草はひどくない?」
「フォーマルなイベントで全校生徒の前に出れば普段とのギャップでモテること確実ですよね副会長先生、と大真面目にのたまったのはどこのどいつだ」
「いやんカゲってば耳年増なんだからぁ」

 身長の高い景央と並ぶと少し低いけれど、彼も炎而とそう背は変わらない。制服はきっちり着る景央とは対照的に、ネクタイやシャツのボタンは見苦しくない範囲で崩していてそれが彼のスタイルによく似合っている。軽音部で組んでいるバンドのボーカル、花形を飾るだけあって見た目はそこそこで、それなりに女子からの人気もあるらしい。炎而も去年から何度か彼のライブは聞いているが、歌唱力は非常に高く、これだけ歌えればさぞ楽しいだろうと何度思ったかしれない。景央が「とーや」と呼ぶ人物、それが鈴城 琴也だ。琴也の父親と景央の母親は双子の兄妹で、ふたりはいとこ同士にあたる。それにしたって性格が違いすぎるような気もするが、それを言ったら自分やみのりと椿もまたまるで違うということを思い出さないわけにはいかない。
 
「お、そーだこれやるよエンジい! うちのカゲに清き一票を」

 ぺらりと渡されたのはわら半紙に印刷された立候補者のPRポスターだ。立候補に向ける思いやら応援メッセージがいっぱいに載っている。
 正直、信任投票なのだからここまで金をかけなくても、とは思うのだが。

「こんな大層なモン貰わなくても投票するって。友達なんだしさ」
「いや芹沢。そんな理由で投票されては困る」
「そーよエンジ。だから俺たち頑張ってんの」
「信任投票なんて投票する側もされる側も手を抜こうと思えば抜き放題だ。だからこそ、本気をアピールするなら活動するしかない。幸い、今期は皆やる気のようだからしっかり期待に応えられると思うよ」
「カゲはガチでカタブツだからさ。選挙も真面目に投票してやってよ」

 景央の人となりは、今年同じクラスになってからよくわかっていたつもりだ。去年は違うクラスだったが、隣のクラスだったため英語や数学、体育の時間に一緒になることが多かった。真面目で堅くて、しかし理不尽ではないその性格。勉強にも生徒会活動にも真っ直ぐ向かう態度も、こういった仕事を任せるに相応しい人間だと思う。だからこそ琴也も自分の部活のライブがあっても景央を手伝うのだろう。そこにはいとこ同士という繋がりを超えて、景央の人間性のなせる業といっていいものだ。

「言い方が悪かったよ。景央なら安心して任せられるって思ってる」
「そう言ってくれるとありがたい。とーやもせっかく手伝ってくれてることだしな」
「選挙終わったら俺のライブもよろしくな、エンジ」
「もちろん。あれ、そういや景央は一緒に行くって言ってなかったよな。樹理とか塩見とか一緒に行くけど、来るか?」
「いや、俺は遠慮しておく。聞きに行きたいのは山々なんだが、何せ選挙の次の日だからな。授業が終わったら顔合わせがある。終わり次第余裕があったら顔を出すよ」

 この堅さこそが人望を集めている。こんな彼だから、彼を慕う生徒は多いし、彼自身もその期待に応えようと頑張っているのだ。友人としてこの選挙は応援しなければ。まず炎而にできることは、今この場で行われている活動を邪魔しないこと。それに尽きると判断した。

「じゃあ俺は邪魔になるから教室行ってるわ。頑張れよふたりとも」
「おう、またなエンジ!」
「また後でな、芹沢」

 どうせ二人ともクラスメイトだ。始業前のチャイムで戻ってくるだろう。
 校舎へ向かって歩き始めた炎而の後ろで、琴也のPRが響く。「生徒会長に瀬川景央はいかがっすかー」などと売り込みの様相を呈してきたようで、景央が持っていたチラシの束で琴也の頭を叩いて笑いを誘っていた。ラジオのように、二人のやり取りは声だけで十分状況がわかる。これは得票率も信任投票とはいえかなり伸びるだろう。
 週末の選挙当日が少し楽しみになった。






やっとうたプリASやり始めました。嶺二恋愛エンドだけ見た。ちょっと二次創作したくなった。
デビューやった時から書きたいと思ってたけど、トキ春←嶺二が最高においしいと思う。
やっぱり大人で自分押し殺して、素直に感情出さずに生きて来た嶺二さんがトキヤに仕事人間として嫉妬する展開おいしいです。
いやしかしはるちゃんとくっついてよかった。リピートでトキヤルートやったときほどのときめきはなかった。やっぱりトキヤルートは神がかってたよね。自分と自分じゃないキャラクターの間、歌い手と作曲家の間、恋愛禁止令云々、いろんな葛藤をこれでもかというほど詰め込んでたので、そのすべてに一喜一憂して真面目に悩んでるトキ春のふたりはすごく可愛かったしきゅんきゅんするよね。


景央のことは、奈央も「けい君」とか空も「けい」って呼んでたりして、結構けいちゃん呼びが普通。あとは瀬川くんとか瀬川先輩とか。
景央と琴也は幼馴染で、お互いにお互いをあんまり他の人が呼ばないような名前で呼びたいとか思ってて、琴也は景央を「カゲ」って呼ぶし、景央は琴也を「とーや」って呼ぶようになったのが幼稚園くらいだから直らない、みたいのがいい。


月穂は何気に景央に憧れてるっていうか兄ちゃんと違って素敵な人だなあと思ってるけど、でも観星とめっちゃ距離近いといい。休みの日に一緒に買い物行ったりしてほしい。いろいろ悩んで商品を選ぶ月穂に、「かぐやちゃん可愛いからどれでも似合うと思うよ」とかさらっと言っちゃう観星はさすが遠藤の血を引いているだけあります。

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2013.04.23(Tue) | 擬似親子 | cm(0) | tb(0) |

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